小中学生にパソコン「1人1台」は何をもたらすか 学習内容をAIが「カスタマイズ」するメリット

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近年、塾や予備校向けに、デジタルツールを利用し生徒一人ひとりの学習内容をカスタマイズするサービスが急速に広がっている。

有名なサービスとしては、「Atama+」や「Qubena」などがある。「Atama+」は、駿台予備学校や明光義塾といった大手学習塾の一部教室でも導入されている。また「Qubena」は、2020年9月時点で100以上の自治体、750校以上の小中高校に利用されている。

  • これらのサービスの特徴としては、

    (1)タブレットを利用した自習ツールであり
  • (2)AIが自動的に、個々の習熟度に応じた問題を提示する
  •  

などが挙げられる。このうち肝となるのは(2)である。

例えば算数のテストにおいて、子ども一人ひとりがどの問題を間違えるのかは千差万別である。加えて、間違えた原因まで考慮すると、さらに複雑になる(単なるケアレスミスなのか、何らかの単元に関する理解が不十分なのか、等)。このような中で、教師一人が生徒全員に一人ひとりの習熟度に合った授業を行うことは極めて難しい。

前述のデジタル学習ツールは、AIを活用することにより、この状況を解決しようとしている。

AIはデータ解析により、どの単元の理解が不足しているかなど“つまずき”の原因を生徒一人ひとりに対して特定する。さらに、AIは解析結果を踏まえ、生徒1人1人に合わせて学習すべき項目や順序、量を提案してくれる。この間、教師には各生徒の学習状況がリアルタイムで報告され、効果的な声かけ、指導ができるようなサポートが提供される。

AIによるサジェスト機能などは自習、特に復習時において効果を発揮する。したがって、いわゆる通常の授業は、カスタマイズが難しいことに変わりはない。

一方で、宿題やテストの復習時間においては、デジタル学習ツールの活用が見込まれる。教室で子どもたちがタブレットに向かって黙々とAIによって提示された問題を解き、教師がその様子を見守りつつ、適宜声かけする、といった姿が今後みられるかもしれない。

カスタマイズによる「もうひとつの効果」

近年、このカスタマイズされた学習がもたらす成果に関する研究が増えてきている。現時点では、カスタマイズされた学習は、成績向上等の成果につながることが確認されつつある。その一つとして、慶應義塾大学の中室牧子教授らがカンボジアで実施した研究がある。

研究では、カンボジアの公立小学校の算数を対象として、教育アプリをインストールしたタブレットで授業時間の範囲内で勉強する生徒と、タブレットを使用せず通常の授業のみ受けた生徒に分け、ランダム化比較試験を行った。さらに、タブレットを利用した生徒は、3か月間のみ利用と10か月間利用の2グループに分割した。なお、ここで使用された教育アプリは、習熟度に沿ってカスタマイズされた学習が提供されるものである。

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