マーケの基本のキ「3C分析」ありがちな失敗例 自社の都合を優先した分析に陥っていないか?

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ところが、ここで3C分析のフレームワークを使えば、必要な情報を抜けや漏れ、ダブりなく集めることが可能です。また、「あの作業をするのを忘れていた……」「あの商品・サービスをリサーチしていない」といった、うっかりミスを防ぐ効果もあります。

ここでは、3Cにそって次のような情報を集めてみましょう。

市場・顧客:着物関連業界全体の成長率、直近10年のトレンドなどの情報
競合:ライバルメーカー・販売店の売り上げデータ、強み・弱みなどの情報
自社:自社の売り上げシェアや成長率、強み・弱みなどの情報

このようにして、3つのCに分けて情報収集をしないと、「自社の都合」が優先され、自分勝手な分析・判断に陥ってしまうことがあります。

『マッキンゼーで叩き込まれた 超速フレームワーク』より

その結果、次のような失敗例を、私はこれまで数多く見てきました。そうならないためにも、3Cを常に意識するように心がけてください。

  • よくある失敗例
  • ・自社のことばかりで競合のことを考えていなかったため、すでに同じような商品があることを見過ごしてしまった
  • ・市場を見ていなかったため、後で「そもそも、市場がなかった」と気づいた

次に、携帯用音楽プレーヤーの例でも考えてみましょう。

今や携帯用音楽プレーヤーの役割はスマートフォンが果たしています。ですから、どれだけきれいな音が出るように改善して販売したとしても、そこに消費者のニーズはほとんどありません。

スマートフォンは音楽プレーヤーだけでなく、時計、カメラ、携帯用ゲーム機、携帯用映像プレーヤー、車載ナビゲーターなどを一気に陳腐化させました。

スマートフォンが登場したころ、その登場によってこれらの製品が駆逐されると予見した人は少なかったでしょう。

しかし、ほどなくして汎用性のあるスマートフォンが代替サービスを提供し、これらの製品に置き換わったのです。

携帯用音楽プレーヤーがスマートフォンへ置き換わったように、大きな代替製品が出てくると、企業は、その市場から撤退せざるをえなくなることがあります。

だからこそ、3C分析で市場や競合の動きや変化を「抜け・漏れ」なく見ることが大切なのです。

大嶋 祥誉 センジュヒューマンデザインワークス代表取締役

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おおしま さちよ / Sachiyo Oshima

センジュヒューマンデザインワークス代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織開発・人材育成コンサルタント。上智大学外国語学部卒業。米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。米国シカゴ大学大学院人文科学学科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーでは、新規事業の立ち上げ戦略、全社戦略立案、営業戦略立案などのコンサルティングプロジェクトに従事。その後、ウイリアム・エム・マーサー、ワトソンワイアット、グローバル・ベンチャー・キャピタル、三和総合研究所にて、経営戦略や人材マネジメントへのコンサルティングおよびベンチャー企業支援に携わる。

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