固定資産税を払う人がたまげる鑑定の仰天裏側 業界団体に「丸投げ」の「経過措置」が20年超続く

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先述の積算書を比較すると、報酬の妥当性に対する疑問はさらに広がる。報酬単価や作業時間に大きな開きがあるためだ。

鑑定士協会は日立市、つくば市など7市村に日当4万500円とする「業務歩掛等計算書」を提出した。1地点の評価にかかる時間は5~6時間程度と見積もっている。一方、ひたちなか市と常陸太田市に対して鑑定業者が提出した積算では、時給1500円で30時間余りかかるとされた。1日7時間だと4日余りになる。時給が倍の3000円で出ている那珂市には、ほぼ半分の16時間余りでできるとする積算が出た。

報酬単価が低いと長時間かかり、単価が高いと比較的短時間で済むという。その結果、1日当たりの報酬で4倍近い開きがあり、1地点を評価するのにかかるとする時間は6倍の開きがでている。

1地点に4日余り、178地点を評価

茨城県不動産鑑定士協会の会員は約60人なので、単純平均で1人当たり200カ所以上を評価する。これに1地点4日もかけたら2年以上かかることになる。時給1600円で1地点に4日余りかけるとする積算書が出ている北茨城市では2人の鑑定士は1地点5万4890円で計187地点を評価した。担当者は「他市町村との比較をしたことがなく気づかなかったが、かかる時間の違いは大きすぎる。1日でできるのであれば金額も下がる。次回に向けて精査したい」などと話した。

固定資産税の土地評価は、不動産鑑定士が評価する「標準宅地」をもとに、全国の大方の道路に「固定資産税路線価」をつけ、その路線価をもとにそれぞれの宅地などの評価を出す気が遠くなるような作業だ。そのため、昨年1月1日時点の公示地価をもとに、いったん評価して、その後、地価が下がった場合はそれを反映させる形で今年の評価変えに対応している。

この作業とは別に、不動産鑑定士は、国土交通省が発注する公示地価と国税庁が発注する相続税路線価の評価にも携わる。固定資産税のための土地評価は、公示地価の7割をめどに、相続税路線価は8割をめどに計算すると決まっている。

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