スカイプ創業者が説く「人類絶滅」リスク3つ 生物学的リスク、AIリスク、最後の1つは?

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ピョートル:将来的にどのような意義をもたらすでしょうか。「人類の外側にある問題」が人類に与えた影響、もしくは気づきはどのようなものだったでしょうか。

タリン:もちろん多くの人が亡くなり、経済的な影響も大きい。ただ、少なくともパンデミックや将来現れるかもしれない危険なウイルスに私たちの関心を向けさせました。私たちは今回の危機を乗り越え、より深刻な事態が起こったときに役立つシステムを構築するでしょう。この危機は、人類に真に貢献ができる人々やサービスを顕在化するはずです。

ピョートル:新型コロナウイルスは、僕たちに本質的な問題を突きつけていますね。まさにウイルスと人類の対峙によって見えてきたこととは何でしょうか。

コロナは「リーダーシップの巧拙」もあぶりだす

タリン:新型コロナウイルスの危機は「容赦ないもの(the Unforgiving)との接触」と考えられます。人同士の付き合いでは、人は感情を気にするので容赦をします。だからうまくいくまで、うまくいっているふりをすることができます。一方、自然は人の気持ちを忖度しません。だから容赦もしないし、人は装うこともできません。

私は、今回の危機で、口のうまい人ではなく、明晰な考えを持つ正しい人たちが明らかになるといいと思っています。「容赦ないもの」、つまり新型コロナウイルスは戯言も見事に顕在化させています。メディアと政治の問題もあぶり出されました。

例えば、誰かがとんでもなく間違った予測をしても、ほんの数週間の間にそれが間違いであることがわかってしまう。効果が現れるまでが迅速なので、思考の明快さやリーダーシップの優劣もよく見えます。

危機が過ぎた後には、世界で誰が正しいことをしたのか、誰が最も早く物事を理解し、効果的に反応したかが明らかになるでしょう。人類すべてに関わる問題を抱えたことで、人々が世界的により強固な協力関係を築く方向に向かうことを切に願っています。

ピョートル:正しい情報にアクセスすることが今、とても重要になっていますが、メディアについてはどう見ていますか。

タリン:人々はつねに情報を欲しています。自分の政治的見解を確認できる情報、真実であると教えてくれる情報を得たい。そのため今、真実の情報への需要が高まっています。データ重視型の賢い人々は正しい教訓を得るでしょうが、問題は、それ以外の人々が、プロパガンダや歴史の後付けに走るかもしれないということです。今回の危機が去ったとき、ますますその傾向は強まるはずです。

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