日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致

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政府は国内のキャッシュレス決済比率を現状の25%から2025年までに約40%に高める目標を掲げ、20年6月までの9カ月間、キャッシュレス決済の利用でポイントを還元する施策も実施した。新型コロナ禍で人との接触をなるべく避けることが求められていることも、キャッシュレス化の普及を後押しする。

減少する通貨、増える通貨、通貨にも2極化現象

日銀が事務局を務める金融広報中央委員会が1月に発表した調査によると、現金の代わりにクレジットカードや電子マネーが使われる傾向は高まっている。支払金額が1000円以下の場合、現金を利用すると答えた人の割合は20年に70.8%と前の年の84%から低下した。こうした傾向を反映し、1円などの少額硬貨の流通量は減っている。

キャッシュレス化が進む一方、その動きとは逆行するような現象も起きている。日銀のデータによると、市中に出回っている1万円札の合計金額は増加傾向をたどり、1月末時点で107兆3000億円と1年前と比べて6.4%増えた。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「1万円札を中心に、紙幣の発行高が増加を続けている背景には低金利環境が挙げられる」と指摘。預金しても金利がほとんど得られない状況が続いているため、自宅などでの現金貯蔵、いわゆる「たんす預金」化が進んだとみられるという。

上野氏は「新型コロナ感染防止のための接触低減化の風潮もキャッシュレス化の追い風になる」として、「低金利などによって自宅などでの貯蔵が促される高額紙幣や500円玉の増加と、キャッシュレス化の影響をダイレクトに受ける少額硬貨の減少という二極化はますます進みそうだ」と述べた。

著者:浦中大我、萩原ゆき

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