商船三井は次世代船構想シリーズ第3弾を発表、既存技術で大型バラ積み船のCO2排出量を3割削減
海運大手の商船三井は、次世代船構想「ISHIN(いしん)」シリーズの第3弾を発表した。次期社長に内定している武藤光一専務は、会見の冒頭で、「歴史に裏付けられた、地に足の着いた技術革新による構想で、技術に飛躍がないという意味」とシリーズ全体に「維新」と名づけた理由を解説した。
今回発表したのは、大型鉄鉱石専用船、いわゆるバラ積み船の環境対応船。排熱エネルギーを回収して推進力として再利用するなど、機関システムの効率化でCO2排出量を10%削減できるという。その他、塗料を工夫することで摩擦抵抗を低減したり、燃料油添加剤を加えたり、タービンの推進効率を最適化したり、船体の最適設計や運航支援システムの最適化、太陽光パネルの利用などで合計CO2排出量を30%削減する。
CO2削減率
機関システム効率化 10%
摩擦抵抗低減 10%
推進効率最適化 5%
最適運航支援システム 5%
船体最適設計 2%
燃料油添加剤 1.5%
自然エネルギー利用0.1%
上記を単純に足し算すると33.6%になるが、技術部担当の横田健二常務執行役員によれば、削減率はかけ算。掛け合わせると30.13982%となり、確かに約30%の削減になる。いずれも既存の要素技術で達成可能なのでいつでも造れるのだが、建造費は1割アップが見込まれる。向こう3年間では、こうした技術を盛り込んだ新造船の竣工予定はない。
さらに、東京大学を中心とした「ウインドチャレンジャー計画」で、新形式の風力推進船が共同開発できれば、50%以上のCO2の削減が可能となる。
次世代船構想シリーズの第1弾は自動車船、第2弾はフェリーだった。今回のバラ積み船での構想はコンテナ船やタンカーにも転用が容易だという。
「今まで考えてきた要素技術の組み合わせでコンテナ船もタンカーも行ける。ただしコンテナ船ならば冷凍庫に電力を直接回したほうがエネルギー効率がいい。これで検討し尽くしたかな、と思う。ISHINシリーズはこれで一休み」と横田常務は、肩の荷が少し下りた様子だった。
(山田 雄一郎)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2009.03 1,865,802 197,211 204,510 126,987
連本2010.03予 1,350,000 18,000 22,000 10,000
連本2011.03予 1,550,000 100,000 100,000 60,000
連中2009.09 624,562 -11,458 -10,011 -9,934
連中2010.09予 720,000 38,000 38,000 20,000
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1株益¥ 1株配¥
連本2009.03 106.1 31
連本2010.03予 8.4 3
連本2011.03予 50.1 3-10
連中2009.09 -8.3 0
連中2010.09予 16.7 0-3
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