渋沢栄一の「鉄道初体験」は意外な場所だった 日本での開業より前に可能性を見抜いた洞察力
初乗車は「日本初の鉄道」ではない
「いつから鉄道が好きなんですか?」
鉄道ファンだったら、一度は他人からそう質問された経験があるだろう。暮らしの中に自然と鉄道が溶け込んでいる現在、初めての鉄道体験がいつだったのかを覚えている人は少ない。多くの鉄道ファンは、気がついたら列車に乗って行動するようになっていた、いつの間にか鉄道を好きになっていたと口にするに違いない。
それでは、渋沢が初めて鉄道を体験したのはいつだったのか? 渋沢が生まれた1840(天保11)年は、当然ながら日本国内に鉄道は走っていない。日本で公式に初開業した鉄道は、新橋(後の汐留)駅と横浜(現・桜木町)駅とを結んだ。同区間の開業は1872(明治5)年。このときだろうか? 確かに、同区間の開業日、記念列車が運行されて渋沢はそれに乗車している。しかし、これが渋沢の鉄道初体験ではない。では、品川駅―横浜駅間は前年に仮開業を果たしていたから、そのときか? 実はこれも違う。


















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