迷惑行為晒す「道路族マップ」管理人の言い分 登録殺到するサイトは「不寛容」の象徴なのか

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「マップを見て『このエリアには引っ越ししないようにしよう』『この道路を通るときは気をつけよう』と考えられます。道路族側にとってみれば近くに公園や遊ぶ場がなくて困っている場合もあると思うので、行政側がこのマップに着目することによって苦情が多いゾーンに遊び場設置を検討する、道路施策を考えるといった使い方もできます。むしろそういうツールとして活用すべきでは」(北折氏)

ただ、こうして迷惑が可視化されることで両者の対立がより深まっていくようにも感じる。ネットではマップ登録者に対して「怖い」「クレーマー」「神経質」「闇」と批判する書き込みも多い。「登録数が多い地域は、逆に『クレーマーが多い地域』と解釈すべき」などと揶揄(やゆ)する声もある。

もっとマップをうまく使ったほうがいい

対立で終わっては根本的な解決にはならないのではないか。

「よくも悪くも昔は仲間内やご近所内での話だったことが、ネットでは世界中に公開されてしまうわけですから、われわれの意識とデジタルツールとの乖離が大きくなっていっているところはあります」と北折氏は言う。

一口に『道路族』といっても、子どもが短時間騒いだだけのケースから、ボールを当てられてガラスが割れたといったたケースまで、個人の感じ方や実害の有無などレベルに差がある。すべて『道路族』とまとめるのではなく、いくつかの階層に分けて考える必要はあると北折氏は指摘する。

「一般に、議論は批判する人、擁護する人とも極端なケースを取り上げ、互いに『それはひどい』と言っているうちに話が噛み合わず悪口合戦になることが往々にしてある。もっとマップを道具としてうまく使う方向に考えたほうがいい」(北折氏)

道路族マップのトップページには、「子どもが外で遊ぶ事を否定するものではありません。公園など然るべき場所で思いっきり(ルールを守って)遊んでください。保育園・幼稚園などの建設をめぐる騒音問題とも全く別問題ですのでお間違い無いようお願いします」と書かれている。

管理人は次のように語る。

「『不寛容』という言葉は実に便利。これを使えば注意された側が無敵になれます。道路族に悩む人たちに『寛容になれ』と言うのは、心身を壊すほどのストレスにも我慢してやりたい放題の人たちを『許せ、お前がどうなろうと知らん』と言うのに等しいものです。危険迷惑に思っている人がいるということを知り、改められるものは改める。登録した側に対しての寛容さもあればいいのになと思っています」

安楽 由紀子 フリーランスライター

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あんらく ゆきこ / Yukiko Anraku

1973年、千葉県生まれ。国際基督教大学卒業後、編集プロダクションを経てフリーに。芸能人、スポーツ選手、企業家へのインタビューを多数行う。

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