ソフトバンクGが反発する「勝手格付け」の是非 ムーディーズの情報発信に対し繰り返し批判
これに対しSBGは、格下げの発表直後にプレスリリースを出し、「(ムーディーズの格下げは)市場環境についての過度に悲観的な想定、及び当社が何の熟慮もなく市場で性急に資産売却を行い、さらに財務改善を行わないという、誤った理解と憶測に基づくものと考える。当社からの再三の説明や市場への説明を無視し、一方的にこのような判断がなされたことは許されることではない」と抗議した。
そして「当社の説明を理解していないと思われる情報(格下げ)で市場が混乱することを避けるため」として、SBGは格付け依頼の取り下げを決めた。だが、ムーディーズはその後も格付けをやめることなく、勝手格付けの公表を続けた。
そのため、ムーディーズが何らかの見解を公表するたびにSBGは反論を表明している。格付け取り下げ後の2020年6月にムーディーズが格付け見通し(アウトルック)を「見直し中」から「ネガティブ」に変更した際も、SBGは「当社に対してコメントをする意図及び同社がどのような情報をもとに当社の状況を把握し信用力評価を行っているのかは不明だ」と反論した。
「まったく耳を貸さない間違った判断」
信用力が悪化しかねないと、ムーディーズが格下げの根拠としたSBGの資産売却プログラムは、結果的に当初計画の4.5兆円を上回る5.6兆円の資金化が完了している。今回、改めてムーディーズに対する見解を聞くと、SBGは以下のようなコメントをした。
「昨年3月時点での不確実な状況を踏まえ、アウトルック(格付けの見通し)を変更するのであればまだしも、財務改善策を打ち出す中で、過度な悲観論(市場が暴落する中、当社が資産を投げ売りするなどの想定)に基づき、確定的に信用力悪化を織り込んで2段階の格下げを行ったことは、4.5兆円プログラムに基づく資金化の実績を見ても、発行体の方針・計画に全く耳を貸さない同社固有の間違った判断であったと考えている」
「また2段階格下げとの判断は、ムーディーズ自身が公表している格付けクライテリア(評価基準)に当てはめても、全く合理性のないものだ。4.5兆円プログラムの発表およびその実行により、SBGの財務状況は格付け2段階分の差があるほど悪化したのだろうか。LTV((ローン・トゥ・バリュー、保有株式価値に対する純有利子負債の割合)は改善し、保有資産資金化後でもなお当社保有資産価値は上昇している。投資事業の収益も格段に改善していることを踏まえると、財務状況は確実に改善している」
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