アフターコロナの中国で「日本車が好調」の訳 24.1%のシェアを獲得した日系メーカーの戦略
中国の都市部では、買い替え需要の増加に伴い、クルマの優劣を客観的に判断する消費者が増えている。
韓国系の現代(ヒュンダイ)や起亜(キア)は低価格車を差別化の武器として、長年中国乗用車市場上位を維持してきたものの、消費者の嗜好変化やブランド力の低下などを受け、2016年以降の販売台数は大きく減少している。
フランス系メーカーのルノーは中国の乗用車事業から撤退し、PSA(プジョーシトロエン)も現地向けモデルの投入遅れなどにより、低迷している。韓国系とフランス系の2020年新車販売は、市場シェアの低下分から試算すると、2017年比で約160万台の減少となる。
また、アメリカ系メーカーの苦戦も目立つ。GM(ゼネラルモーターズ)の販売台数は約6%減の290万台、特にシボレー、宝駿(バオジュン)など低価格車ブランドの販売台数が、前年比で30%以上も減少した。
4年ぶりのプラス成長となったフォードは、販売台数が127万台でピークに達した2016年と比較して、半分程度にとどまっている。米中摩擦の影響を受けているものの、消費マインドの低迷や低価格車の販売不振が、アメリカ系メーカーの減速要因であろう。
フォルクスワーゲンは前年比8%減となり、日系メーカーを圧倒する優位性が、徐々に変化してきている。ただ、新車市場の減速が、中国市場で長く展開してきた同社の市場優位を崩す可能性は小さいものと思われる。
日系メーカーが好調な4つの要因
競合ブランドの低迷が好機となり、日本メーカーは販売台数増を果たしたとの論調も聞こえてくるが、本当だろうか。ものづくりと市場競争の視点から日本車好調の要因を考察すると、次のような要因が考えられる。
1つ目の要因は、プラットフォームの共通化と兄弟車戦略だ。日系メーカーは、これまでの車種別プラットフォーム生産から、車種の枠組みを超えた大規模な部品共通化戦略による生産へ切り替えつつある。
たとえばトヨタとホンダは、1つのプラットフォームをベースに内外装を変えることで、中国の合弁会社2社から新車をそれぞれ投入する兄弟車戦略を実施している。
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