39歳の早稲田大OBが「お寺コンサル」に見た活路 漫画の聖地の街でもユニークな寺院の取り組み
そのキーワードとは、「二極化された葬儀」「行政との助葬」「介護・医療・福祉・看取り・葬儀供養と連続するトータルなデスケアのあり方」「地域ボランティアの育成」「1ON1(ワンオンワン)地域のことは地域で解決」「お寺DEソーシャルキャピタル」「企業、行政、宗教の協同で安全で安心できる地域のセーフティネット作り」などだ。
例えば葬儀。今や完全に葬儀スタイルは二極化し、生活が苦しい人々のケースでは行政が喪主で、お骨は区役所のロッカーに保管といった実態があるという。格差社会にコロナ禍が重なって事態はどんどん深刻化している。
また、傾聴ボランティアをしている野々部は、50代、60代の住民の間に、地域社会に貢献したいというボランティア意識が強いことを肌身で感じ、その仕組み作りを模索している。
計画書ではそうした地域社会の現状を、「自助」ではなく、寺をハブとした「公助」「共助」を中心として変え、地域の活性化に向けた道筋を示している。
その計画書の最後は「2027年には新人類の時代を迎える超個人の意識となっていく。その個を繋ぐ場所がTheお寺」と結ばれている。
新たな価値観を創造していく
難解な内容だ。いったい、どういうことか。
「(新自由主義が進むなかで)これまでは何ピースあっても出来上がる絵は1つというジグソーパズルのピラミッド型でした。それが、コロナ禍による価値観の変化で、出来上がるものが車であったり、家であったり、人形であったりとレゴ化の時代になってきました。つまり、正解がない集団から個々の時代になってきているのです。
そういう過渡期において1回、がちがちの固定観念みたいなものは壊してしまったほうがいい。本物を見極め、新たな価値を創造していくのです。従来の価値観に縛られていない若い人たちにはその可能性があるし、AIやロボットといった新しい環境の中で、新たな物を生み出す個の意識をいかにつないでいくか。
その場を提供できればという思いはありますね。コロナ禍を機に“情報”ではなくて“編集”する力で、違う価値観、新たな意識を生み出していく社会にしていきたいですね」(野々部)
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