39歳の早稲田大OBが「お寺コンサル」に見た活路 漫画の聖地の街でもユニークな寺院の取り組み
例えば御朱印。埼玉厄除け開運大師のHPには青色と紫色の2種類の切り絵の御朱印がアップされている。よく見ると本堂の切り絵が施された青の御朱印には「埼玉厄除開運大師」の文字があるが、星の切り絵が施された紫の御朱印にはひと言もない。
青を購入するのは40~50代のコアなファンで伝統的な要素が盛り込まれているものを嗜好する。一方、紫はもともとファンではない層向け。SNSや雑誌の特集で見かけて「カワイイから欲しい」といった女性たちに人気だという。
彼女たちは切り絵御朱印を部屋に飾ったりするが、そこに宗教色が強く出るのはためらうので、あえて大師などの文字を入れていないというのだ。
京都の世界遺産寺院とも契約締結進む
つまり、従来の非顧客層にSNSなどを通じて、抵抗感のない形で御朱印ファンになってもらおうという仕掛けである。さらに御朱印は春夏秋冬と正月でデザインが変わるため、1年を通してリピーターがつく。月に30枚ほどだった御朱印の売り上げは今では月に1万枚ほどに伸びたという。
こうした一連の取り組みが功を奏して、2021年の初詣客は前年比5割増の15万人を突破した。コロナ禍で全国各地の有名寺院の初詣客が前年比6~7割減となる中で、異例ともいえる現象をもたらしたのである。
埼玉厄除け開運大師の再興を果たした小久保は、エルターナルで全国の寺社仏閣、自治体を相手にさまざまな仕掛けを展開していこうとしている。すでに全国約30の寺と契約を交わしている。
それだけではない。世界遺産に登録されている京都の著名な寺院とも契約締結の話が進んでいる。圧倒的な知名度を誇る人気寺院といえども、コロナ禍の影響で初詣客や参拝客が激減するという課題に直面。その解決のために、寺院側が小久保の実績、手腕に白羽の矢を立てたのである。
また、地元・熊谷市とは、日本一暑い街熊谷で生まれた奇跡のお米と「御朱印」を軸とした課題解決型トラベル「開運シティ熊谷」のプロジェクトを進めている。
社会課題解決型のベンチャー企業として歩みを始めたエルターナルの今後の展望について小久保は「5年以内の上場を目指す」と抱負を語る。
「1000年以上の歴史を持つ寺社仏閣のサポートをしていく以上、我々も永続しなければなりません。上場することで社会的信用を増やし、優秀な人材を確保していく。日本の宝である寺社仏閣様とともに成長していきたいですね。ゆくゆくは社会インフラみたいな存在にしていきたいと考えています」
30代の青年起業家は、壮大なロマンを抱えながら着実に事業展開を進めている。
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