名著ペストに学ぶ「長いコロナ禍」を生き抜く力

不条理の時代を生きるための行動のヒント

最後に、タルーに注目しましょう。

ペスト発生から3カ月ほど経ったある日、タルーがリウーを訪ねます。そして、タルーが切り出しました。

「あなたとは腹を割って話ができると思います。あと半月かひと月もすればあなた方はなんの役にも立たなくなってしまうでしょう。保健の人員がまったく不足しているのです。なぜ、志願者を募らないのですか?」

リウーが答えます。

「やってみたのですが、あまり集まらなかったのです。そこで、役人たちは囚人たちを使うことを検討したのです」
「自由な人間がやるべきです。志願者による保健部隊を組織するための案があります。役所など抜きにしてやろうじゃないですか。どうせ、彼らは手が回らないのですから。わたしには、さいわいにも、あちこちに友達がいます。まずは彼らを中心に活動できるでしょう。もちろん、わたしも参加します」

こうして、保健隊が結成されました。

『ペスト』から得られるヒント

『マンガ&あらすじでつかむ! 60分でわかる カミュの「ペスト」』(あさ出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

私は『マンガ&あらすじでつかむ! 60分でわかる カミュの「ペスト」』で、「自由な人間」について少し解説をしています。

「囚人」は、リシャールや県知事。自由な人間は、グランやタルーたちです。指示待ち人間は「囚人」であり、「頼るべきは自分しかない」と覚悟する人間は、自由なのです。

さて、このタルーのアクションから導き出せるヒントが、これです。

「仲間に呼びかけよう。『一緒にやろう』と呼びかけよう」

3人のヒントをまとめてみると、こうなります。

「小さなことでもいい。まずは、自らを頼りにして、自ら行動してみよう。そして、行動しながら、仲間を見いだし、『一緒にやろう』と呼びかけてみよう」

このヒントは、夢実現のための妙手でもなければ、人を選ぶような奥の手でもありません。誰にでもできる、基本的なことなのです。

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