次のテスラと注目される「リヴィアン」の正体 アマゾンも実力を認めた電気トラックの凄み

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レベッカ・パック・ステアは、リヴィアンが魅了したいタイプの購入者だ。ニューメキシコ州アルバカーキで映画のロケハンを担当している彼女は、数年前から電気自動車の購入に興味を持っていたが、仕事で砂漠に行くため、地上高が高い四輪駆動が必要だという。「そんな車は市場になかった」と彼女は言う。「テスラは私のニーズに合っていないのです」。

約1年前、彼女は初めてリヴィアンのことを知り、その翌日にはSUVの頭金を支払った。リヴィアンは、テスラと同様、ディーラーを通じて販売する予定はない。ステアはサイバートラックを見てきたが、そのデザインは彼女には合わない。「あのトラックはただ『うっとうしい男性向きのトラック』感全開だったから」と笑う。

最低価格が6万7500ドルのリヴィアンのトラックとSUVは、まるでランドローバーがデザインしたかのように、より平凡なものとなっている。

ゆっくりと慎重に計画を進めている

急速に成長を遂げようとしているテスラとは異なり、リヴィアンはゆっくりと慎重に進んでいる。昨年、パンデミックが発生する前は、2021年にピックアップトラックとSUVを約2万台、2022年には約4万台生産する計画だと話していたが、まだ最新の見通しは発表されていない。

リヴィアンは2030年までに、イリノイ州ノーマルの工場で年間25万台の生産能力を目指す。同社は実際の受注台数を明らかにしていないが、広報担当者によると、今年に製造する予定の車両のすべてに顧客が殺到したということだ。

一方、ほかの自動車スタートアップ企業が潤沢な資金を持ち、株式市場に上場したペーパーカンパニーと合併することで株式公開をする中で、リヴィアンはそうしたことには意欲的ではない。「株式を公開する前に、まずは発売し、われわれの能力と性能を実証させたい」と38歳のスカリンジは言う。

リヴィアンとテスラが好むアプローチの違いは、おそらくこれら2社を率いる男たちと大きく関係しているのだろう。

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