次のテスラと注目される「リヴィアン」の正体 アマゾンも実力を認めた電気トラックの凄み

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多額の軍資金があっても成功する保証はなく、ゼロから新車を生産することは、既存の自動車メーカーにとってはもちろん、スタートアップ企業にとっては途方もない作業となるだろう。

リヴィアンの創業者でCEOのRJスカリンジは、インタビューで、「このようなものを作るプロセスは、数千という部品が数百にのぼるサプライヤから集まってくる複雑なオーケストラなので単純ではない……確かに人が思っているよりもはるかに複雑だし、さらには私が思っていたよりもはるかに複雑なものなのだ」と語っている。

電気自動車はいずれ市場の100%占める

リヴィアンはテスラと同じく、交通手段の電化を利用したいと考えている。自動車メーカーの重役の大半は、世の中がこの方向を目指していることを確信している。テスラは昨年までの5年間で、年間生産台数を、5万台から10倍に増やした。ゼネラルモーターズ(GM)、フォードやフォルクスワーゲンなどの自動車メーカーは、いずれ化石燃料モデルに取って代わる電気自動車やトラックの開発に数十億ドルを投じている。

「電気自動車の台数は、私が生きている間に、市場のごく一部を占めるところから、市場の100%を占めるところへと移行するだろう」とスカリンジは言う。「既存勢力でその移行を可能にする有力企業もあるだろうが、新たな企業が参入するチャンスも大いにある」。

リヴィアンのスカリンジCEOは、MITで博士号を取得したエンジニア。MIT時代は自転車や歩きで移動したり、水でシャワーを浴びたり、手で洗濯したりと、二酸化炭素を排出しない生活に励んでいたという(写真:Lyndon French/The New York Times)

自動車業界を再建するもう1つの大きなトレンドは、自律走行車だ。この領域で事業を行っているGMの1部門、クルーズは、1月21日、マイクロソフト、 GM、ホンダなどの投資家から20億ドルを調達したと発表した。リヴィアンとテスラは、自律運転技術にも取り組んでいる。

リヴィアンは、いくつかの点でテスラと異なっている。テスラはこれまでに消費者間では人気が落ちていたタイプのスポーティなセダンを販売することで成長してきた。テスラは今年、奇妙に角ばった近未来的なピックアップトラック、サイバートラックの製造を開始する予定だが、テスラはいまだにアメリカの乗用車市場の75%を占めるSUVやトラックを重視するということはしていない。

一方、リヴィアンは、所有者がオフロードを運転できる「冒険」車の生産に焦点を合わせており、これは、リヴィアンがテスラと真っ向勝負をすることはあまりないであろうことを意味している。「勝者が独り占めをするという認識があるが、それは間違っている」とスカリンジは話す。「消費者には、さまざまなブランドや、異なるスタイルが必要だ。われわれの成功は、他人の成功と相互排他的なものではまったくない」。

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