株価の命運握るアメリカ10年金利を予想する FOMCでは利上げ回数と中立金利の見通しに注意

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イールドカーブの形状からイメージを得る方法もある。アメリカの10年-2年金利差で見てみる。現在は約1%ポイントまで拡がっており、これはFRBが3回利上げしていた2017年に近い水準である。

バーナンキショックの10年金利は?

ちなみに正常化プロセスの号砲と解釈された2013年5月22日のバーナンキ元FRB議長の議会証言(通称バーナンキショック)の頃は1.6%ポイント程度だった。正常化プロセスが始まろうかという局面ではそれくらいだったという見方もできる。とすれば、10年-2年金利差は1.5%ポイントくらいまでの拡大が限界だろうか。

一般的に2年金利は政策金利と相関が強く、10年金利はインフレ期待や景気の先行きと相関が強いと解釈される。政策金利は2023年末までゼロ金利維持で意見集約されており、この前提は堅い。とすると、「10年-2年金利差が1.5%ポイント」を前提とした場合、10年金利に残された上昇余地はあと0.5%ポイント程度という話になる。足元から言えば、やはり1.50%程度だ。

年内にバーナンキショックのようなステージまで到達することはないとすれば、1.50%が限界というのは腑に落ちる。メインシナリオとして年内の10年金利の上限を1.50%に置き、為替市場を中心とする資産価格の予想を策定するという基本姿勢はそれほど的外れではないと考えたい。

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