株価の命運握るアメリカ10年金利を予想する FOMCでは利上げ回数と中立金利の見通しに注意

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とはいえ、FOMC(連邦公開市場委員会)の政策メンバーによる金利見通し(ドットチャート)を前提とした場合、利上げの終点と目される中立金利は、前回利上げ局面の当初は3.50%だったが、足元では2.50%まで下がっている。現在、コロナショックで労働参加率が過去最低水準にまで下がっていることなどを考慮すれば、潜在成長率とそれを実現するための中立金利はさらに切り下がっていても不思議ではない。

政策金利の上限が切り下がっているとすれば?

仮に政策金利の上限が切り下がっているのならば、過去の経験則をアテにして金利水準を探るのは危うくなっているということでもある。だとすると、2021年のアメリカ金利が思ったほど上昇せず、ドル買い戻しも限定されるという展開は考えられる。

筆者は2021年について「アメリカ金利とドルが底打ちを探る年」という目線で捉えているが、こうした中立金利低下に伴う市場金利の抑制が現実のものになってきてしまうとそうした見方も大きく変える必要が出てきてしまうだろう。その意味で四半期に一度公表されるドットチャートについては、それが示唆する年間の利上げ回数だけでなく、中立金利の水準にも今まで以上の注意を払っていきたい。

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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