「ジムニー」発売2年半を過ぎても絶好調の訳 生産体制を増強し「最大1年」もの納期に対応

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2020年のジープの販売台数は過去最高の1万3588台で、これは5年前の約2倍、10年前の7倍に相当するが、2023年には販売拠点を現在の82拠点から100拠点とすることで年間販売台数2万台超えを狙う。

ジープとジムニーの販売好調を俯瞰すると、これらふたつの出来事はつながっているように思える。

それが、2つめのキーワード、「ギア」だ。

ジープの主力となる「ラングラー アンリミテッド」(写真:FCAジャパン)

ギアとは高性能な道具を指すが、そこにファッション性を感じられることが重要である。

キャンプ、釣りといったアウトドアやレジャーにおける車中泊など、具体的な目的はいろいろあるが、仮にそうした趣味を持たなくても、ギアを所有すること自体が、日々の生活の中で楽しく、また充実した気持ちを生む。

こうした点で、本格的なオフロード走行の機会が少ない女性ユーザーも、ジープやジムニーの所有欲をかきたてられているのではないだろうか。

まだまだある、ジムニーが売れる理由

さらにもう1点。これは私見だが、「中高年」もキーワードになるのではないかと考えている。中高年の男性の中には、自分が高齢者に近づき、免許返納の現実味が増してくる中で「終(つい)の1台」を考えるようになり、「せっかくならば、思いきり楽しめるクルマを」と、ジープやジムニーに辿り着くケースもある。実際に筆者の周囲でそういう話を何度も聞いている。

そのほかでは、昭和のクルマを懐かしむ「ネオクラシック」ブームもジムニー好調の一助になっているだろう。

2020 日本自動車殿堂「歴史遺産車」に選定された初代「ジムニー」(写真:スズキ)

丸目ヘッドライトのオーソドックスなスタイリングが好まれるムードが出てきており、レジャー用のトランスポーターとしてカスタマイズの需要が高いトヨタ「ハイエース」を丸目ヘッドライトに換装するパーツが人気となっている。

4代目ジムニーのデザインコンセプトが、1970年代に生産された初代ジムニーであり、4代目には丸目ライトだけではなく、クルマ全体としてネオクラシックの雰囲気が漂っているようにも思える。

ジムニーとジムニーシエラの最大の課題、それは“長い納期”だ。

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