NHKが総務省に「回答」、それでも続く値下げ圧力 2023年度の受信料引き下げで「終わり」ではない
総務省の要求にNHKが一定の「答え」を示した。NHKは1月13日に2021年度から23年度までの経営計画を発表した。
NHKはネット常時同時配信の認可を求めた際、高市早苗・前総務相から、三位一体の改革(業務・ガバナンス・受信料)を求められていた。新年度を目前に控えて、これがNHKの宿題になっていた。
今回の経営計画において、業務面では現在3チャンネルある衛星放送を23年度中に2チャンネルに削減し、将来的には1チャンネルへの移行も視野に入れる。現状、3波(AM2波・FM)を持つラジオは2波(AM・FM)への削減を検討する。
ガバナンス面では、業務が重複し肥大化していると批判されていた関連団体を縮小する。さらに中間持ち株会社制度を導入して子会社の経営に対するグリップを強め、ガバナンス強化を図る。前田晃伸会長は13日の会見で、「(三位一体改革を行い)NHKを本気で変えるという強い覚悟を示した」と話した。
値下げの原資に700億円を捻出
最も注目度が高かった受信料については、値下げを明示した。総務相時代にも受信料の引き下げを要求していた菅義偉氏が首相になってから、NHKに対する値下げ圧力が増していた。実際、武田良太総務相は「(コロナ禍で)家計の負担を減らす受信料の値下げから着手するのが、公共放送としてのあるべき姿だ」と、再三、その必要性を指摘していた。
NHKは2023年度の値下げを予定している。詳細は未定だが、値下げの原資は700億円規模で、受信料を支払っている世帯が約4000万であるため、1世帯当たり年間1750円の引き下げとなる。
700億円の原資は、繰越剰余金(2020年度末の見通しは1450億円)から400億円、新放送センターの建設計画を見直すことで建設積立資産(同1693億円)から200億円強、残りを2023年度の収支差金から捻出する方針だ。武田総務相はこうした計画を受けて、「初めて改革に向けて大きな一歩を踏み出した。これに関しては評価したい」と述べた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら