収監されたサムスントップ「獄中経営」の行方 李在鎔副会長不在の穴をサムスンは埋められるか

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サムスン電子の李在鎔副会長は19日、ソウル首都圏・京畿道のソウル拘置所で弁護士と1時間半ほど面会した。李副会長と面会した弁護士によれば、「李副会長は食事もきちんと取り、睡眠も十分」「周囲に迷惑を掛けた」と気丈な様子だったという。

サムスン電子をはじめグループ内の主要企業経営陣はまもなく会議を開き、トップ空白という衝撃を最小化させる方法を議論する。2008年に故・李健熙会長が退いたときには「社長団協議体」が設置され、新事業の推進やグループ会社間の事業調整といった主要懸案を決定した。李副会長が2017年2月から翌18年2月に収監されたときには、当時のサムスン電子副会長など専門経営陣が中心となって日常的な投資や事業活動を進めた。

TSMCなどライバル企業との競争力に不安も

問題は、台湾のTSMCといったライバル企業が巨大投資を行う中で、勝負を賭けるほどの戦略を立案・実行できない状態が続かないかという点だ。専門家らは、サムスンがトップ不在のまま経営を行うには限界があると口をそろえる。李副会長の最大の強みは、主要国家の元首や高官、グローバル企業や海外の専門家といった幅広いネットワークであり、これを引き継ぐ者が現在は見当たらないためだ。

かつて韓国企業のSKは、崔泰源(チェ・テウォン)会長が2回収監されて主要な意志決定が中断されたことがある。崔会長が釈放されてようやく、半導体企業のハイニックス買収やSK証券の売却、海外企業への投資といった新成長戦略に集中することができた。トップ不在のサムスンでは、残された経営陣は責任が大きな決定を下すことができず、役割を代替できないだろうとの評価が支配的だ。

ソウル大学経営学部のソン・ジェヨン教授は、「韓国企業でオーナー一族以外の専門経営者は、現状維持の経営はうまくできるが、トップがいない状態では過去にやったことがある経営しかできない可能性が高いのが現実だ。現在の経営者が李副会長の穴を埋めるといっても、彼がいないままでは大規模な投資を決定できず、短期的で補完的な経営措置しかできないだろう」と指摘する。
(同、2021年1月20日)

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