終電繰り上げ、人は消えても回送が走る不条理 「ダイヤ改正」は困難、電車は急に止められない

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緊急事態宣言を受け、首都圏在来線の終電繰り上げを伝えるポスターを掲示するJR東日本の駅員(写真:時事)

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況を受け、1月7日に東京・埼玉・千葉・神奈川の1都3県に発令された緊急事態宣言。1月13日には栃木や愛知、大阪、福岡など7府県にも対象が広がった。首都圏の鉄道各社は、「夜間の外出自粛」を強く呼びかける国や自治体の要請を受け、1月20日から終電の時刻を繰り上げた。

終電の繰り上げは、夜間の保守作業時間確保などを目的に都市部のJR各線や大手私鉄各社が今春のダイヤ改正から予定している。それだけに、今回の緊急事態宣言に伴う繰り上げは「前倒し」での実施のように見えるが、内容は別物だ。

単に春からの新ダイヤと時刻が違うだけではない。繰り上がった「終電」の後も、電車そのものは走るケースが少なくないのだ。

基本のダイヤは変えずに対応

今回、首都圏で終電を繰り上げたのは、JR東日本や大手私鉄各社をはじめ、1都3県の計25事業者。今春のダイヤ改正では繰り上げを行わない予定の路線も含まれる。

JR東日本は山手線や中央線快速、京浜東北・根岸線など、首都圏の計11線区で終電時刻を繰り上げた。山手線外回りの池袋―品川間は14分程度、中央線快速の東京―武蔵小金井間は30分程度と、各線でおおむね10~30分早まっている。「要請があった1都3県の路線で、終電時刻が遅い路線を対象にした」とJRの広報担当者は話す。

20日からの終電繰り上げは、基本となるダイヤは変えずに深夜の電車を運休したり、運転区間を短縮したりすることで対応している。例えば、中央線快速の下りは東京駅0時10分発以降の4本を運休し、終電を0時06分発に繰り上げた。池袋発の山手線品川方面行きは0時38分発が最後だったが、同列車を池袋止まりにすることで0時26分発が終電になった。

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