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また、固定金利・無制限の資金供給オペの期間を2016年12月まで延長することを決めたが、この間は低金利政策を継続することを約束したに等しい。これにより長めの金利にも低下圧力が及んでいる。
利下げのほかに、民間の非金融部門に貸し出しを増やした銀行に対し低利の長期資金を供給するプログラムを始める。足元では企業の資金需要がやや上向き始めており、貸し出し増加につながる可能性を秘めている。さらに、ABS(資産担保証券)購入へ向けた準備を開始するとして、量的緩和への期待感をつないだ。
奥の手はあるのか
だが、今回の大盤振る舞いで金融緩和のメニューは使い果たしてしまった感がある。ドラギ総裁自身、「金利は実務上の下限に達した」としており、ユーロ高進行や物価の下振れが止まらない場合は、そうとうつらくなってくる。
市場が緩和パッケージを好感した理由は、その先に、「量的緩和」の薫りをかぎ取ったからにほかならない。だが、大規模な国債購入は、EU(欧州連合)条約が禁じる財政ファイナンスとの境界線があいまいで、ドイツの抵抗も強い。
追加緩和に合わせて発表されたECBメンバーの消費者物価上昇率見通しはかなり慎重だ。今回導入した政策効果の見極めやABSの買い取り開始にも一定の時間を要する。さらなる追加緩和まで距離を置きたいECBと、量的緩和に期待する市場の間には微妙な温度差がある。
緩和の弊害も見られる。今回の政策発表以降、スペインやイタリアなど重債務国の金利低下に拍車がかかった。ポルトガルと米国の金利逆転も視野に入る勢いで、さすがにクレジットバブルの雰囲気も漂う。ドラギマジックがたびたび炸裂し、ECB頼みが高じていることは、欧州経済を金融緩和というモルヒネの中毒患者にしつつある。
(週刊東洋経済2014年6月21号〈6月16日発売〉掲載の「核心リポート05」を転載)