ユーロ高は、終わったのか 敏腕アナリストが分析する為替相場
なぜECBはマイナス金利と信用緩和策を決定したのか
5月ユーロ圏HICP(消費者物価指数)は、速報値が前年比プラス0.5%と4月の同プラス0.7%から一段と減速した。こうした「ディスインフレ懸念」に対し、6月5日のECB理事会では、利下げや各種の信用緩和策が決定された。
政策金利については、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.25%から0.10%へ、上限金利である貸出ファシリティ金利を0.75%から0.40%へ、下限金利である預金ファシリティ金利を0.00%からマイナス0.10%へと、それぞれ引き下げた。ドラギ総裁は記者会見で政策金利が「事実上の下限に達した」と述べている。
今回の決定ではマイナス金利の導入が注目されたが、ECBは5日のプレス・リリースで導入の理由を詳しく説明している。ECBは「長期にわたってユーロ圏のインフレ率がプラス2%を大幅に下回り続けると見込まれている」としたうえで、マイナス金利は「ユーロ圏の安定成長に必要な条件であり、中期的な物価安定を確実にするために講じた措置の一環である」とした。
こうした利下げに加え、ECBは様々な信用緩和策も発動している。具体的には、(1)「的を絞ったLTRO(Targeted Long-Term Refinancing Operations; TLTRO)」、(2)固定金利・全額供給方式による資金供給オペの2016年末までの延長、(3)SMP(証券市場プログラム)の不胎化オペの停止が決定された。
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