菅首相、むなしき「1カ月で事態改善」の決意 感染拡大続けば、政権の「3月危機」に現実味
有識者の間でも、今回の緊急事態宣言の実効性については「すべてお願いベースで、国民の自助努力しかない。ただ、最大のポイントとなる政府や政治家全体への信頼がなければ、コロナ特措法を改正しても事態は改善しない」(感染症専門家)との見方が支配的だ。
宣言発令と並行してSNS上で大炎上したのが、国会議員の会食のルール化だ。6日の段階では自民、立憲民主の森山裕、安住淳両国対委員長が「緊急事態宣言下の議員の会食は『夜8時までで4人以下』」で合意していた。しかし、日本医師会やネット上で「議員は率先垂範して全面自粛すべきだ」と批判され、7日の協議でルール策定を見送った。
有識者の間でも「自分で判断できないのでは国会議員ではない」「そもそも会食はやめて昼間に会議室で会えばいい」との声が相次ぎ、SNS上でも「小学生以下」「選良でなく選悪だ」などの書き込みがあふれた。「これでは国民が政治を信頼するはずがない」(財界幹部)というわけだ。
「ポスト菅」めぐり、早くも臆測
そうした中、年明けに発売された有力週刊誌の多くは、「ポスト菅」をめぐる特集記事を一斉に掲載した。「断末魔の菅政権」などそれぞれ刺激的な見出しが並び、次期衆院選での情勢分析でも「自民敗北・菅退陣」の大胆予測が目を引く。
政府与党の苦境を横目に勢いづく主要野党は、18日召集の次期通常国会の冒頭から菅首相に集中砲火を浴びせる構えだ。2021年度予算案に先立って行われる2020年度第3次補正予算案やコロナ特措法改正の審議は、「表向きは順調に進む」(自民国対)と見られている。ただ、「コロナ対策の迷走だけでなく、『桜』や『卵』など追及材料はいくらでもある」(立憲民主幹部)。与党内からも「支持率低下の材料ばかりで、政権はまさに八方ふさがり」(公明幹部)との悲鳴が漏れる。
自民党内の一部には「一か八かの予算成立後の解散断行で4月25日の衆院選しかない」(幹部)との声も出るが、「もはや菅首相の下での解散は困難」(閣僚経験者)との見方も急速に広がっている。多くの与野党幹部は「コロナが収束して、東京五輪開催につなげられるかどうか」が今後の政局展開のカギとみており、「事実上、これから3カ月で政権の命運が決まる」(自民長老)ことは間違いなさそうだ。
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