菅首相、むなしき「1カ月で事態改善」の決意 感染拡大続けば、政権の「3月危機」に現実味

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そのうえで「この3点を徹底していただければ、必ず感染を抑えることができると考えております。両親や友人など大切な命を守るために行動をお願いしたい。1カ月後には必ず事態を改善させる。首相としてありとあらゆる方策を講じる」と結んだ。

記者との質疑応答で東京五輪・パラリンピック開催の可否を問われると、「新型ウイルスの克服に全力を尽くし、感染対策を万全にして、安全・安心な大会を実現したい」と、従来通りの決意を表明。「日本でも2月下旬までにワクチン接種を始めたい。しっかり対応することで、国民の雰囲気も変わってくる」とワクチン接種が国民の安心につながるとの判断を示した。

50分余りで打ち切られた記者会見

ただ、記者団が質した「国民一律10万円再給付」や「PCR検査の大幅拡充」については、答弁メモを読むだけで可否も含めた明確な説明は避けた。

同日の菅首相の会見は、今年の政局を左右する重要な意思表示の場だった。しかし、従来と同様、時間は合計50分間余。出席記者も限定し、再質問も受け付けずに次の日程を理由に打ち切った。

ただ、その後公表された首相動静をみると、菅首相は会見後に首相補佐官や厚生労働省事務次官ら「官邸官僚」メンバーと打ち合わせをしただけで議員宿舎に帰っており、与党内でも「首相の国民に訴えるという熱意が感じられない」との批判・不満が相次いだ。

菅首相は就任時に「悪しき前例主義の打破」を公約したが、その後の首相会見を見る限り「悪しき前例の拡大強化にしか見えない」(自民長老)というわけだ。

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