「中小企業の生産性向上」が日本を救う根本理由 日本の中小企業は「躍進の可能性」に溢れている

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従来の日本では、多くの企業は生産性向上ではなく、効率化を進めてきました。効率化とは、同じ仕事をしながら(同じ付加価値を創出しながら)、どこまで人を減らせるかを考えることです。これでは失業者が増えますし、企業の淘汰を伴うことも多いです。

「効率化」と「生産性向上」は根本的に異なる

しかし、それは効率化であって、生産性向上ではありません。私の主張を誤解している人は、効率化と生産性向上を混同している可能性が高いといえます。

私が主張する生産性向上は、同じ数の労働者が生み出す付加価値をどこまで増やせるか、という考え方です。付加価値を増やす政策なので、企業の規模拡大が必要であっても、失業者は増えませんし、企業の淘汰も必要ありません。

世の中には、私が生産性向上のため「中小企業の淘汰」を進めるべきだと主張しているかのように誤解している人がいるようです。しかし、私は中小企業の生産性向上が淘汰によって可能だと主張しているわけではありません。

細かい話ですが、国全体の生産性は、労働生産性と労働参加率によって決まります。労働生産性を高めようとしても、失業率が上がれば労働参加率が低下してしまうので、全体の生産性は上がりません。

もっと簡単にいうと、労働生産性が1000万円で、労働参加率が60%であれば、生産性は600万円となります。労働生産性を1200万円に上げても、労働参加率が50%まで下がれば、生産性は600万円のままです。

私は生産性向上論者なので、当然、労働参加率を維持しつつ、労働生産性を高めることを提言しています。このスタンスは首尾一貫し、一度もぶれたことはありません。

生産性向上が重要なのは、日本人がこれ以上、貧乏にならないためです。日本では今後、高齢化がこれまで以上に進み、高齢者の数が当分の間減らないことが予測されています。そのため、年金や医療費などの社会保障費を抑えようとしても、大幅に軽減することはできません。

一方、生産年齢人口は2060年までに、今の水準の約半数に減少します。つまり、現役世代が高齢者を支えるために負わなくてはいけない負担が倍増してしまうのです。

人口構成がこのように激変するので、何の手立ても講じないで指をくわえて見ていると、現役世代の税負担が今まで以上に雪だるま式に増加してしまうのは、火を見るより明らかです。この負担を緩和するために、生産性の向上が不可欠なのです。

現在の日本の生産性は非常に低く、世界第28位。先進国の中では最低レベルです。IMFは、2020年には韓国の生産性が第24位まで上がって、第28位の日本を初めて上回ると予想しています。逆に言うと、日本の場合、生産性を向上させる余地がたくさん残されているということです。

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