ポルテ/スペイド終了、一世代築いた役目の意味 好調シエンタにバトンを渡し、16年の歴史に幕

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2代目登場時に追加されたスペイド(写真:トヨタ自動車)

一方、左右でドア方式が異なるだけでなく、3ドアとなることで車体剛性の保持と、左右の剛性の調和をとるのが難しくなったが、試乗をしてみてもあまり違和感を覚えさせないように調整したクルマに仕上がっていた。このあたりは初代ポルテで左右非対称の車体設計をした経験が役立っているのだろう。

モデルチェンジを行った2012年には、前年にラウムの生産が終了しており、似た車種の統合が進んでいた。それでもほかに、「ラクティス」があったり「シエンタ」があったりと、車体全長4mほどのワゴン車が複数併売される状況にあった。

2代目の発売当時は、まだ取扱車種が系列で異なる時代であり、それぞれの販売店系列での商品の充実も必要だったであろう。しかし近年は、トヨタの店であればどこでも同じ車種を買えるようになり、コンパクトなトールワゴンはシエンタに集約されるようになってきたのではないか。実際、拙宅の近所では、親子2代でシエンタを2台保有する家がある。また、日産「キューブ」やマツダ「プレマシー」がなくなるなどして、シエンタに乗り換える消費者も出ているはずだ。

販売好調なシエンタに引き継ぎ、役目を終える

ガソリン車やハイブリッド車、5人乗りや7人乗り、2WDや4WDなどに加え、内外装のカラーリングや特別仕様車も多く、選択肢も多いシエンタ(写真:トヨタ自動車)

現行のシエンタは、2015年の発売から5年を経ているが、独創的な外観はもとより、低床式の室内、ハイブリッド車の快適さなど、2代目へのモデルチェンジで込められた高い商品性はまだ衰えていない。一方で、ポルテ/スペイドへの目線が離れはじめていたこともあるだろう。日本では、基本的に4ドアであることに利便性を覚える消費者が多い。4ドアは、人の乗り降りだけでなく荷物の載せ降ろしにおいても何かと融通が利くのである。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

シエンタは、ハイブリッド車を選べば燃費がよいだけでなく、静粛性も高まり快適な乗り心地になる。クルマの電動化は、環境性能向上だけでなく、快適さや上質さを向上させるのだ。ポルテ/スペイドがガソリンエンジン車のみという設定も、時代にそぐわなくなってきたといえるだろう。実際、他社も含めハイブリッド車(HV)の設定を持つ車種の多くが、6~7割の比率でHVが選ばれている実態がある。

ポルテ/スペイドは、登録車のハイトワゴンとして十分な役目を果たしてきたが、シエンタにその座を譲るときが来たといえる。それは、クルマ自体の商品性だけでなく、トヨタ車であればどの販売店でも買えるという、トヨタの販売店系列からの脱却も関わっているのだと思う。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事