北朝鮮・党大会で注目される3つのキーワード 対米関係や金与正の処遇、経済政策はどうなるか

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韓国の北韓大学大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、「バイデン政権への祝賀メッセージとともに、2018年6月12日の米朝首脳会談で出された『シンガポール合意』の内容を継承すること、さらには今後の米朝対話を促すようなメッセージが出てくる可能性がある。南北関係においても、連絡チャネルの復元とともに、南北対話を提案することもありうる」と見ている。

また、金委員長による人事も気になる点だ。とくに金委員長の妹で最側近とされている金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長が昇進するのではないかと考えられている。

実妹・金与正がナンバー2に?

2017年に党政治局候補委員に昇進した金副部長は、南北首脳会談と米朝首脳会談で存在感を示し、2020年6月に南北連絡事務所を爆破した時には韓国への圧力・攻勢の最前線に立っていた。金委員長への忠誠心も高く、その能力もすでに認められたという声もある。今回の党大会で政治局委員へ昇進し、主要な職責までまかされる場合、北朝鮮でナンバー2の地位に就くこともありうる。

経済面ではどうか。北朝鮮の経済路線としては党・国家への集中路線を維持するが、人民経済により集中する姿勢を打ち出す可能性がある。2018年に北朝鮮は、2013年からの「経済建設と核武力建設の並進路線」の終了を宣言した後、経済建設に総力を集中させる路線へ転換したことを発表している。

経済制裁とコロナ禍の中でとりうる方式は、結局は人民の団結による自力更生と正面突破しかない。金委員長は1月1日に年賀状を発表し、人民に対して忠誠を誓うことを強調した。韓国・慶南大学極東問題研究所の林乙出(イム・ウルチュル)教授は、党大会のキーワードとして「人民大衆第一主義といった言葉を打ち出し、そのような姿勢を示すのではないか」と指摘する。
(韓国「ソウル新聞」2020年1月3日)

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