新「5カ年計画」を立てる金正恩委員長の胸の内 「成長目標は甚だしく未達成」と発表した北朝鮮
2021年1月の党大会の開催と、新たな経済5カ年計画の策定。北朝鮮は8月19日に朝鮮労働党中央委員会総会を開催し、この2点を決定した。党大会は党の最高指導機関であり、党の路線や基本的政策を決定する。また中央委員会総会は、党大会の決定を受けて具体的な組織運営や指導を行う。前回の総会は2019年12月に開催されている。
経済状況の深刻さを吐露した総会
注目すべきは、この総会の「決定報告書」に記された自国経済に関する部分だ。そこには、「過酷な対内外情勢が持続し、予想しえなかった挑戦が重なることに合わせて経済事業を改善することができず、計画されていた国家経済の成長目標が甚だしく未達成となり、人民生活が目に見えて向上しえないという結果ももたらされた」とある。現在の経済状況の深刻さを自覚していることがわかる内容だ。
そこで、「新たな国家経済発展5カ年計画」を2021年1月に開催予定の党大会に向けて策定すると述べている。現在、北朝鮮は2016年5月の第7回党大会で明らかにされた「国家経済発展5カ年戦略」が進行中で、今年2020年はその最終年となる。「これまで5年間の事業でもたらされた経験と教訓を分析、総括し」(決定報告書)たうえで新たな経済計画が策定される予定だ。
この「5カ年戦略」の具体的な数値目標といった中身は、現在まで北朝鮮は発表していない。2016年9月、北朝鮮の朝鮮社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)教授は東洋経済とのインタビューで、「当然、その目標とするものはあるが、アメリカと対峙している状況にあり、その具体的な目標と方向性を明らかにできない」と回答している。
ただ、2019年4月に「国内総生産(GDP)は年平均8%成長、2020年には2014年実績の1.6倍」「2014年に614万トンだった穀物生産量を2020年に800万トンへ増産」と日本の毎日新聞が報道したことがある。
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