いなげや社長「2021年は顧客争奪が激化する」 コロナがもたらした消費者行動の変化とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
いなげやの本杉吉員社長は2021年の展望について、「2020年のがんばりを無にしないようにしたい」と語った(撮影:大澤誠)
新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛を機に高まった内食需要は、スーパー各社の業績を潤している。東京・多摩地区を中心にスーパーを約140店展開するいなげやもその1社だ。
2021年3月期の営業利益は、前期実績の2.6倍と大きく伸びる見込み。同社の本杉吉員社長は、「ここ数年は業績が低迷し経費削減だけが続いてきた。次への取り組みが弱くなっていた」と振り返る。2021年をこれまでの停滞を打ち破るチャンスの時期とする考えだ。

コロナ禍で社会での役割を再認識

――2020年を振り返ると、どういう年でしたか。

コロナで始まりコロナで終わったような年だった。社長就任の7日目に政府の緊急事態宣言。店舗営業を続けることが当社の最重要課題となった。

従業員も含め感染が拡大していったときを想定して、どのような順番で店を閉めていくのか、どの店を旗艦店にして営業を続けていくのかなど決めておく必要があった。緊急事態宣言が出てしばらくは臨時の会議を毎日開いていた。

――消費者の行動変化はスーパーにどのような影響を与えましたか。

都心部の店舗は通勤者の数が減り若干厳しい。駅前立地だと売上高が前年比で2~3割減の水準の店舗もある。一方で郊外の住宅地に立地する店舗は好調に推移している。また、午前中の来店が増えているので、夜間の売り上げ構成比が高かったお店ほど低調となっている。

夏場のお盆商戦は郊外店が苦戦した反面、都心部店は堅調だった。お盆の帰省を自粛した人たちが多かったことで、郊外と都心部の間で人が移動しなかったことが影響したとみている。この年末年始も同じ傾向になるのではないか。

――内食志向の高まりで食材となる肉や魚、野菜などの生鮮食品が売れていますが、総菜の売れ行きは鈍いと聞きます。

総じて厳しいのは事実だが、特に苦戦しているのは和風メニュー。ただ、いなり寿司やちらし寿司は売れ行きが鈍いけれども、にぎり寿司はそうでもない。子どもの好む洋風メニューもうまく展開すれば売れる。

――消費者の行動変化でまとめ買いも増えました。客単価の上昇で利益率は一気に改善し、スーパー各社の2020年度は好業績が見込まれています。2021年もこの構図は続きそうですか。

経営としてはマイナスリスクを読みにいっている。景気には先行き不透明感もあるため消費者の節約志向が高まり、商品価格に敏感になってくるだろう。当社でも購入単価の低下が予想される。

かたや各社ともに好業績となり余力が生まれたことで、価格競争によって客数を増やす戦略が選べるようになった。店内で「3密」を発生させないために配布を抑制していた折込みチラシも、他社をみると元に戻す動きがある。競争激化は経営にボディーブローのように効いてくると予測している。

この記事の続きは東洋経済プラスの短期連載「新社長12人 2021年の展望」で無料でお読みいただけます。連載では以下のトップインタビューも配信しています。

①インタビュー/日本ペイントホールディングス・田中正明社長
②インタビュー/クボタ・北尾裕一社長
③インタビュー/カゴメ・山口聡社長
④インタビュー/三井化学・橋本修社長
⑤インタビュー/岩谷産業・間島寛社長
⑥インタビュー/イオンモール・岩村康次社長
⑦インタビュー/花王・長谷部佳宏社長
⑧インタビュー/村田製作所・中島規巨社長
⑨インタビュー/松井証券・和里田 聰社長
⑩インタビュー/いなげや・本杉吉員社長
緒方 欽一 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事