三菱UFJ、半沢新頭取が担う「コスト改革」の重責 慣例を破り常務からいきなり頭取に就任
銀行部門に限れば、その差はさらに顕著だ。業務粗利益(本業の収益から費用を引いた額)は三菱UFJ銀行が1兆5462億円、三井住友銀行が1兆4120億円とほぼ同水準。しかし経費は、三井住友が8080億円なのに対し三菱UFJが1兆1509億円と3000億円以上も多い。経費率を見ると三井住友銀行は57.2%、三菱UFJ銀行は74.4%とその差は歴然としている。
この格差を生む要因の1つが店舗だ。MUFGは2020年5月に店舗削減の加速を発表。2024年3月までに2018年3月末の515店舗から約40%を削減し(従前は35%削減)、約300店舗まで削減する計画になっている。一方、三井住友は店舗削減で先を行く。旧住友銀行と旧さくら銀行の統合時に約750店あった支店を約430店にまで削減しているからだ。
高コストの要因は語りきれない
半沢氏は12月24日の会見で経費率が高い要因を問われ、「語りきれない。残念ながら、いろんな要因がある」としつつ、「本部の要員が他のメガバンクより多く、海外での残高増加に伴って規制対応コストも高くなっている」と例を挙げた。
ある旧三菱銀行OBは「合併後の“分割統治”によって抜本的なリストラができなかったことが根本的な要因だ」と指摘する。行内の関係性を重視した結果、先延ばしにされてきた改革に手をつけるときがきたわけだ。
規模では圧倒的首位を誇るMUFG。コスト改革が進めば、利益でも他を圧倒することは間違いない。半沢新頭取はどこまで大胆にコスト改革のメスを入れられるか。金融業は異業種も交えた競争激化が必至なだけに、体質強化は避けて通れない。就任早々、その実行力が問われそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら