Spotifyに「月刊ムー」「美術手帖」が参入の狙い 若年層などファン開拓へ、旅行系の「TRANSIT」も

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3誌の中で最も大判で、美しい写真がメインのページも多いのが『TRANSIT』だ。

1回あたり数十分の番組が配信されている(記者撮影)

副編集長の菅原信子氏は「写真は大きな魅力である」としつつも、特定のテーマを継続的に取り上げられるメリットを主張する。「毎号テーマに沿った特集を組むワンテーママガジンなので、以前取り上げた人物を再度取り上げるのは難しかった」(菅原氏)。ポッドキャストならそうしたネタも随時、番組のコンテンツにできるというわけだ。

また、TRANSITは単に旅先の観光情報を伝える媒体と異なり、現地の歴史や社会事情、文化、空気感までも取材して届ける雑誌のため、写真がなくとも物事の深い知識や背景を伝えられるのがポッドキャストにおける強みといえそうだ。

制作の裏話は多く、第1回目は「美しき日本の青をめぐる旅」と題して、最新号の制作について編集長も参加して語っている。2回目は「スパイスをめぐる旅」。このように旅と関連付けたテーマで番組を盛り上げる考えだ。

美術手帖は「まちづくり」などを主題に

では、視覚で楽しむアートはどう音声で伝えるのだろうか。美術関係者をはじめ、熱心なアートファンを読者に抱える『美術手帖』は「アートと社会」をテーマとして番組を届ける考えだ。

ウェブ版編集長を務める橋爪勇介氏は「アートは世の中に結構散らばっているもの。アートのファンではない一般の方でも想像しやすいように、アートとまちづくり、アートと食、アートと福祉といった形で届けていく」と説明する。第1回目、2回目は三菱地所の担当者をゲストに迎え、まちづくりについて語っている。

アートの専門的な解説や作品自体の話だけでなく、アートを取り込んだまちづくりプロジェクトなど、事例を取り上げてトークを展開する考えだ。「アートは目で楽しむものなので、音声ですべて伝えるのは無理があると思う。視覚がなくても想像できるように、バックグラウンドのストーリーなどを大事にして伝えていきたい」(橋爪氏)。

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