radikoはラジオ界の「救世主」になれるのか

有料会員は70万人に、ライバルはSpotify?

2010年にサービスを開始したラジコは、月間880万人が利用するまでに成長した(記者撮影)

2010年にサービスを開始した「radiko(ラジコ)」。スマートフォンのアプリやネット上などで、いつでもどこでもラジオを聴くことができる。

radiko登場以前のラジオ業界は苦境に立たされていた。radikoがスタートした2010年当時、ラジオ局の収益源である広告費は下げ止まりの気配が見えなかった。2010年には10年連続で広告費が前年割れとなり、2000年と比べるとラジオ広告費は38%も落ち込んだ。

radikoは、ラジオ市場の落ち込みを食い止めることを狙いとして、全国のラジオ局や電通などが出資して発足。radikoのサービス開始からちょうど10年が経過し、ラジオ広告費は10年前のスタート時と比較し、横ばいの状況だ。

同社の青木貴博社長は「radikoがあったからラジオ広告費が下げ止まったという解釈もできる。ラジオ局と一緒にラジオ広告費をもう一度上向きに変えられるよう頑張りたい」と語る。

スマートスピーカー普及が追い風に

radikoをスマホやPCなど各種デバイスで利用した人数を示す月間ユニークユーザー数は2018年に700万人だったのが、2020年3月には在宅勤務の影響もあり880万人にまで増加。日本国内でエリア制限なく全国のラジオを聴ける月額350円の「radiko プレミアム会員」も、2016年8月時点で約30万人だったのが、2020年3月には70万人に到達し、「順調に伸びている」(青木社長)状況だ。

今後、radikoが期待するのは、話しかけるだけでラジオや音楽が聴けたり、照明をつけたり消したりできるスマートスピーカーの普及だ。市場拡大を見込み、Amazonの「アレクサ」やAppleの「HomePod」、Googleの「Google Home」などがしのぎを削っている。

スマートスピーカーが普及すれば、音声メディアを聴くことのできる端末が増える。それに伴い、広告市場も拡大する。青木社長は「(市場調査会社である)デジタルインファクト社の調査では、インターネットを通して配信される音声広告の市場が、2020年の16億円が2025年には420億円になると予測されている。スマートスピーカーの普及はradikoにとって追い風だ」と期待をかける。

当然、他社もそうした成長市場を黙って見ているわけではない。従来、インターネット上でラジオを聴けるのはradikoだけだったが、SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスが急成長。さらに、ラジオに似た音声コンテンツを配信する「Voicy」(ボイシー)や、ナレーターらが本を朗読する「audiobook.jp」(オーディオブック ドット ジェイピー)などの音声メディアも台頭してきている。

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