radikoはラジオ界の「救世主」になれるのか 有料会員は70万人に、ライバルはSpotify?

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radikoの強みは、唯一無二の「ラジオ局との関係性」だ。現在ラジオ放送を同時生中継できるのはradikoだけ。2020年2月時点で、民放連に加盟するラジオ局101局のうち、93局がradikoで配信されており、これは他社にはない強みだ。

ただ、この強みがradikoの動きを鈍くさせている側面もある。あるラジオ局関係者は「radikoはステークホルダー(株主である全国のラジオ局)が多いため、意思決定が通常の会社よりも遅い。1つの施策を行うにもそれぞれの関係者の理解を得なければいけない」と話す。青木社長自身も「ステークホルダーとの調整は確かに大変だ」と吐露する。

月間ユーザー1000万人を目指す

いかに関係性が強いと言っても、今後もラジオ各局のコンテンツがradikoだけに提供されるかどうかはわからない。ニッポン放送の人気番組「オールナイトニッポン」がSpotifyで配信されているように、ラジオ局のコンテンツがradiko以外でも配信されるケースが増えていく可能性は高い。そうなれば、ラジオ局のコンテンツ独占というradikoの強みは薄れてしまう。

そこでradikoが次に目指すのは「月間ユーザー数1000万人」という目標だ。「現在は在宅勤務でユーザー数が増えていることもあるが、コロナ危機などがいずれ落ち着けば、このまま伸びていくのは厳しいのではないか」(青木社長)と危機感ものぞかせる。

radikoのアプリを複数作る案のほか、現在の有料プランとは別の月額課金(プレミアム)プランも検討している。現在1つしかないアプリを「高齢者用」「若者用」などに分ければ、ユーザーの属性ごとにトップ画面を変えるなどの施策が可能となる。プレミアムプランも、「まだどのようなサービスが提供できるか議論をしている最中だ。(もしサービスを開始できれば)コーヒー1杯のような払いやすい金額を考えている」(青木社長)。

10年でラジオをネットに根付かせたradikoだが、市場の変化に伴い、変わり続けていく必要がある。競合との争いを勝ち抜けるか。急速に変化するデジタル音声市場の中で、その真価が問われている。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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