資産50億円の彼が現状にまるで安心してない訳 富裕層は一般人ができない投資を仕掛けている

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しかし石原さんは、ここから大きく舵を切る。新型コロナの影響をもろに受けていた米国の航空会社やエネルギー関連会社の社債やETFなどに次々と投資。アフターコロナを見据えた先買いの値上がり益を狙うようになったのだ。さらに、ハイリターンではあるものの、物価上昇や通貨安が続きリスクも高いとされるトルコ債券も購入。いずれも「満足のいくリターンを得ている」と石原さんは胸を張る。

富裕層の資産運用についてアドバイスしている外資系金融機関のプライベートバンカーによれば、「新型コロナをきっかけに、運用姿勢を転換する富裕層が増えている」という。「これまでは長期の分散運用を基本としていたが、コロナ禍後の経済情勢の中で、資金を寝かせておくことは逆にリスクと考え、短期投資に切り替える富裕層の動きがみられる」(プライベートバンカー)というのだ。

さらに「これまで以上にリスクを取り始めている」(同)という。背景としては、前出の石原さん同様、「株や債券では、儲けが出づらくなっている」(同)ことが大きい。日経平均株価は2020年春から2020年末にかけてほぼ右肩上がりで2万6000円を突破。一方、国債の利回りは日本のみならずアメリカやドイツでも惨憺たる状況。これでは大きく儲けることは難しい。そこで富裕層は、これまで手を出してこなかったさまざまな金融商品を物色、リスク許容度を引き上げ、より大きなリターンを狙って積極的に投資し始めているわけだ。

年率15%程度のリターンでは「物足りない」

では、富裕層はどのような金融商品に投資しているのだろうか。富裕層も当然、国債や金、社債、REIT(不動産投資信託)、投資信託などに投資している。だが、これらの商品はおおむね、最大でも年率15%程度のリターンしか得ることができない。

富裕層になると「これでは物足りない」(ある富裕層)。もちろん資産のすべてをつぎ込むわけではなく、あくまでも一部だが、値動きがあって高いリターンを得ることができる可能性の高い投資商品を「“スパイス”としてポートフォリオに組み込みたい」(同)と考える富裕層は少なくない。

そのためコロナ禍の中で、ヘッジファンドをはじめ、仕組み債や商品先物取引、FX(外国為替証拠金取引)、そして仮想通貨(暗号資産)などに投資し始める富裕層が増えている。リスクは極めて高いが、100%から300%というハイリターンを得ることができる可能性を秘めている。

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