コロナ禍でガラリ一変「2020年ヒットCM」の法則 リモート撮影やアニメ化、新たに生まれた工夫

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ファストフードのテイクアウトのCMも相次ぎ、日本マクドナルドは2020年1月から木村拓哉を『ちょいマック』のCMに起用。「いいじゃんマック」をコピーに、木村が車を運転しながら「♪ドライブスルーでちょいマック」と口ずさむCMなどを展開し、主婦をはじめ幅広い世代から支持を集めた。7月度には同社として過去最高となるCM好感度を記録した。

日本マクドナルド/ちょいマック「ドライブスルーの歌」篇

このほか堺雅人演じる父親が自宅で子どもたちと『チキンマックナゲット』を楽しげにシェアするCMなどもヒットした。

フードデリバリーサービスのCMでは、Uber Eats Japan『Uber Eats』が錦織圭とくっきー!、黒柳徹子と小松菜奈、阿部寛と山田孝之をCMに起用した。「今夜、私が頂くのは……」をキーワードに、彼らが同サービスで注文した食事を待つ様子をコミカルに表現。浜田雅功が『スーダラ節』の替え歌を歌い踊る『出前館』などのCMもヒットした。

またニューノーマルならではのレジャーや旅を描くCMも登場。日清食品はぺこぱの松陰寺太勇が自宅のベランダで娘たちと『チキンラーメン』を調理し、キャンプさながらに“ベランピング”を楽しむCMなどをオンエアした。

Go Toキャンペーンの実施を受け、JR東海は「旅は、ずらすと、面白い」をコピーに本木雅弘が早朝の観光地などを満喫するCMを放送。観光キャンペーン『ひさびさ旅は、新幹線!』を訴求した。JR東日本は旅先で“ワーケーション”をする人や、駅ナカのシェアオフィスで仕事をする人を映すCMを展開した。

未来や新時代に向けたメッセージに好感

また時代の閉塞感を打ち破るかのように、未来や新たな時代に向けたメッセージを発信するCMも見受けられた。日産は木村拓哉を企業CMに起用。「上等じゃねぇか、逆境なんて」といった木村の語りに続けて彼が電気自動車『日産 アリア』に乗り込み、「やっちゃえNISSAN」とつぶやくCMが大きな反響を呼んだ。

嵐は13社の賛同企業との共同プロジェクト『HELLO NEW DREAM. PROJECT』を9月14日に始動した。「夢だけ持ったっていいでしょ?」をテーマに、 CMやウェブムービーのほか交通広告や新聞広告、特設サイトからの情報発信などを展開。メディアの枠を超えたスケール感のあるコミュニケーションが話題となった。

この1年、多くの支持を集めたCMに共通するのは、刻々と変化する情勢や生活者の心を見つめながら「今できること」を真摯に模索し、企業の志やブランドの価値をタイムリーに発信したということ。事態の収束にはまだ時間がかかりそうだが、2021年もアイデアの力で人々の背中を押し、世の中を明るく照らすCMの誕生に期待したい。

関根 心太郎 CM総合研究所 代表

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せきね しんたろう / Shintaro Sekine

1973年生まれ。1999年株式会社東京企画/CM総合研究所に入社。システム開発・データベース構築の責任者を経て2014年より現職。消費者3000人を対象としたCM好感度調査を中心に、テレビCMの広告効果測定および研究分析を実施。このほか企業へのコンサルティングや情報提供を通して、広告活動の最適化に向けた課題解決のサポートを行っている。

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