「中学受験」コロナ禍で慌てる親が今すべきこと 教育ジャーナリストおおたとしまさ氏が語る

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今年はコロナの影響で、運動会や文化祭など、普段ならば学校へ足を運んで学校の様子を実際に見ることができる行事が軒並み中止となりました。「(実際に見ていないのに)どうやって学校を選んだらいいの?」という声も聞きました。

しかし、そもそも文化祭や運動会はあくまでもお祭り、ハレの日であり、非日常の状態です。文化祭や、運動会を見たところで、日常の学校の姿がわかるわけでもありません。ところが、どうも最近は中学受験の加熱によって、こうした行事がある意味、集客の機会になっているところがありました。私から見たら、もっと生徒中心の、生徒が楽しむためのイベントに徹すればいいのにと思う部分もあったのです。

今回、こうして外部の人たちが見に行けなくなったことにより原点回帰し、生徒たち自身が知恵を絞り、考えて、自分たち中心のイベントにできたことは、良かった点だと思います。

来年以降、行事の見学などが解禁されてからのことをお話しすると、こうした行事などに参加した際に、親御さんはどこを見ていますか?という点です。つい、「この学校はここがいい」とか、「ここがちょっといまいちだ」と、学校を評価しがちです。ですが本当は、親として一番見なければならないのは、自分の子どもの顔なのです。

『二月の勝者』でも印象的だった学校選びのエピソード(『二月の勝者-絶対合格の教室-』(c)高瀬志帆/小学館)

どの学校に行った時にどんな表情をしていたのか、それが一番の情報のはずで、志望校選択の答えは子どもの中にあるものです。その学校の環境の中にいるわが子がそこに馴染んで見えるか、楽しそうに輝いた表情をしているか、そこが一番のポイントです。

一時のわくわく感よりも、”ここにいる自分が好き”という感覚のほうが、長い人生の中では後々大きな意味を持つようになるのです。学校選びのコツはただひとつ、「考えるな、感じろ」です。ビジネス的な観点ではなく、その子がそこで豊かな人生を送れそうかどうかという観点で選んでほしいなと思います。

オンライン化の早い学校がよい学校?

また今年はコロナ禍の一斉休校の時に、学校がどのような対応をしていたかというのも学校を選択する基準としてみている方もいたと思います。みなさんにひとつ考えてほしいことは、早くからオンラインをやった学校が素晴らしいのかという部分です。取り組みが早ければ早いほどいいかと言えば、そういうことでもないと思うのです。

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