読売新聞、M&A攻勢で回帰狙う「あの頃の巨人軍」 レジャー強化で伝説の多摩川グラウンド再現も

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もともと互いの会社の雰囲気も知り合っていて、さまざまなレベルで人間関係があり、遠い存在ではない。よみうりランドに話を持ち掛けたときは私も緊張していたが、プロパー役員にも想像以上に肯定的に受け止めていただき、良い結果になるだろうと感じた。

――紙の新聞が部数の減少で厳しい状況となり、レジャーに力を入れるという背景もありますか?

紙の新聞事業の収益力が低下しているのは、残念ながら現実ではある。新聞事業は非常に重要で、スポーツ・レジャーを広げることでグループの経営基盤を強化し、新聞事業の強化にも資する体制にしたい考えはあるが、それが出発点というわけではない。

多摩川グラウンドのような身近な球場へ

――新球場には商業施設が併設される計画です。この「ジャイアンツタウン」はどんな施設になり、どう集客を図るのでしょうか。

新球場は主に2軍が使うので、大規模な集客を考えているわけではない。それよりも地域密着で成果を上げていきたい。かつての(選手が練習に用いていた)「巨人軍多摩川グラウンド」は河川敷で、王(貞治)さんや長嶋(茂雄)さんも練習前に石ころを拾っていた。当時、ファンは本当に至近距離で選手の練習を見守っていた。近所の皆さんにも親しまれ、愛されていたと思う。

現在の球場は施設こそ充実しているが、多摩川グラウンドのようなファンや近所の皆さんとの関係は薄れてしまった。新球場はこの距離を近くしたい。球場と商業施設を一体化させる計画だが、商業施設には地域の皆さんが普段の生活の中で使いやすいお店に入ってもらう。たとえばカフェなら、バルコニーからお茶を飲みながらグラウンドを見られるような、新たな観戦スタイルも提案したい。

従来の球場は練習専用、新球場は試合専用として使い分けようと考えている。試合のある日も練習できるようになり、2軍、3軍の選手の練習時間を大幅に増やせる。

また、少年野球やラグビーチームなどに貸し出すこともやっていく。多摩地区全体の皆さんから親しんでもらえるような球場にしたい。ただ、今はまだ、いろいろな思いが先行して構想を煮詰めきれていない(笑)。コロナ禍で着工予定を2022年から2023年に先送りしたので、しっかり構想を固めていく。

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