「3代目ノート」に隙がほぼ見当たらない理由 走りも見た目も内装も先進装備も完成度高い

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フットワークの躾けも見事と言うほかない。サスペンションはストロークがしっかり感じられて、多少うねった路面でもタイヤを確実に接地させてくれる。土台となるボディが軽やかでありながらもカッチリしているのも貢献しているのだろう。細かなアクセルコントロールの容易なe-POWERとの組み合わせは自在感が半端無く、走りが楽しい。

乗り心地もカドが無く、また大きく突き上げた時などにも安っぽさが露呈することはないから、とても快適。そして上質な感じがする。

地図データを元に動くプロパイロットも装備

リアモーターのパワーを従来の3.5kW(4.8PS)から50kW(68PS)へと一気に増大させたe-POWER 4WDも試した。こちらは前後駆動力配分の積極的な制御による、グイグイ曲がりピタッと安定した異次元のコーナリングがとにかく痛快だ。今回の4WDは雪道発進アシストには留まらない、走りの愉しさを倍加させるアイテムとなっている。

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当然、プロパイロットも装備される。しかも新型ノートのそれは日産初というナビリンク機能を搭載しており、地図データを元に設定速度変更、カーブでの減速などを行い、結果として一度オンにすれば長い時間、途切れることなく動作が続くようになる。また、このプロパイロットの動作状況を含む各種情報は目の前のディスプレイに整理されて映し出されるから、確認しやすいし何より圧倒的な先進感に浸れる。コンパクトカーに乗っているとは思えない昂揚感を得られるのである。

実はほぼ99%日本専用車として世に出る新型ノート。もちろん実際には、もっと前から開発が始まっていたわけだが、内田誠社長兼CEO率いる新しい経営体制になって期待が高まる中、最初のモデルとして登場するのだから、なかなか神懸かっている。

2021年のコンパクトカー市場はこのノートがヤリス、フィットの間に割って入り、凄まじい戦いになるだろう。新型ノート、まさに嬉しい驚きをもたらした2021年もっとも注目すべき1台である。

著者主宰Youtubeチャンネル「Ride Now」の関連動画より
島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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