アマゾン、楽天を侵す「ショッピファイ」の正体 モールもリアル店も介さず世界を相手にできる

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「商品とは、消費者が店に足を運び直接手に取って購入するもの」

そんな常識が一気に塗り替わりました。

コロナ禍により、対面での購入が敬遠され、これまで「インターネットで買うべき商品」を買うための手段であったネット通販が、「とにかく何でもネットで買う」という時代に突入しました。

2020年7月に発表された経済産業省のデータによると、国内BtoC-EC市場規模は19兆4000億円に達します。

そんな時代に急浮上してきたのが、「DtoC」(D2C=Direct-to-Consumer)という考え方です。生産者自身が企画、製造した商品をリアルな店舗を介さず、自社のECサイトで直接顧客へ販売するビジネスモデルです。

ショッピファイはブランドに共感するファンを創造し、ファンとともにブランドを発展させていくDtoCとの親和性が非常に高いのも特徴のひとつです。SNSや付随する広告との連携が簡単なので、顧客とコミュニケーションを取りやすく、顧客の反応を見ながら拡張機能を随時変更していける柔軟さがあるためです。

ネットショッピングは、もはや生活の一部。

ステイホーム以降、その動きは一気に加速しました。

デジタル時代の到来で、スピードや情報の伝達手法の見直し、再構築を図る企業側にとって、いよいよ小売店を通さずに、商品やコンテンツが売れる環境が整ったのです。すでに、実店舗は商品を手に取って確認する場、販売員とのコミュニケーションのためにのみ利用し、購入はECサイトから行うのがデファクト・スタンダードになりつつあります。

この流れをブーストさせているサービスがショッピファイです。

ショッピファイは世界最大規模のECサイト構築プラットフォームであり、じつに175カ国、100万人以上、50言語、130カ国以上の通貨に対応可能です。

2018年に日本語対応が進んで以降、国内でも利用者が急増しています。

ブランドが大手モールから続々と離れる理由とは?

ネット通販の花形は、今も昔も「モール」です。

モールとは、アマゾンや楽天に代表されます。商品の売り手はそうしたインターネットモールに出店することでECストアをオープンしてきました。

しかし昨今、大手ネット通販の「モール離れ」の話をよく聞くようになりました。
ナイキが好例です。2019年11月、ナイキがアマゾンへの自社商品の供給を打ち切ることを発表して話題となりました。表向きは「消費者とより直接的で緊密な関係を築いていくため」としていますが、アマゾンの販売商品に模倣品、いわゆる偽物が絶えなかったことが理由ではないかと言われています。

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