大手携帯キャリアの値下げに全然喜べない理由 「安さ」の裏には当然ながら、ワケがある

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まだ先がある。

繰り返すがこれはauユーザー、そして「じぶんでんき」の契約者向けの優遇だ。

住宅ローンの返済は一般的に30年、35年といったところ。この期間中に、もしauの通信契約をやめれば優遇は終わる。電気契約だって、ほかの電力会社に乗り換えれば優遇終了だ。つまりは、数十年単位で自社のサービスを長期契約してくれる人に、その見返りに安い金利を提供してくれるというわけだ。

「安い」「おトク」が大好きな私たちは、目立つ数字に飛びつきがちだが、そこで「なぜ安いサービスが提供できるのか」「その原資はどこから来るのか」を考える癖はつけておきたい。

デジタル社会は「誰一人取り残さない」世界なのか

どんどんシニアに向かっていく世代の1人として、不安になることもある。問い合わせやサポートはどんどんチャットになり、その対応はAIに変わりつつある。人と話せば一度で済みそうなことも何度もやり取りが必要だし、とはいえ有人サポートを受けるためにもネット予約が必要な時代だ。

この先、日本はどんどん高齢化するというのに、このままでははやりのSDGsが掲げる「誰一人取り残さない、持続可能なよりよい世界」とは真逆になりそうな気すらする。省人化、効率化、利益最大化のデジタル社会となった未来は、はたして住みやすいのだろうか。

誰かにきめ細かにお世話をしていただくには、それなりの対価が必要と思えば、「安い」ばかりを喜んでいられない。少なくとも、ドコモユーザーである筆者はahamoには変えないだろう。現プランとの差額は、いざというときのサポート料だと割り切っている。とはいえ、本体プランの値下げに大いに期待しているのは内緒だ。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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