"通過するだけ"は惜しい、滋賀ご当地鉄道事情 琵琶湖を囲む主要路線、地元密着ローカル線も

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さらに京都口には琵琶湖西側を北上するJR湖西線も通る。湖西線は1974年の開通で滋賀県の鉄道では最も新しい。が、北陸方面の特急「サンダーバード」がこちらを走るなど、新参者にしては高い地位を確保している。滋賀県の鉄道における湖西線は、織田家でいえば沿線の坂本城を居城とした明智光秀のような存在なのだ。

湖西線を走る特急「サンダーバード」。奥には琵琶湖(筆者撮影)
滋賀県内の利用者No.1は南草津駅。ベッドタウンとして成長してきた(筆者撮影)

ここで気をつけねばならない点が1つある。京都方面から滋賀県に行こうとして、JR西日本が誇る「新快速」に乗車したとしよう。ところが、新快速には米原経由・湖西線経由の2パターンある。草津に行きたかったのに誤って湖西線経由に乗ってしまい、気がつけば「次は〜堅田〜」などと言われて茫然自失、そんな経験をしたことがある人は少なくないはずだ。

いずれにしても、新快速の存在は滋賀県の鉄道の軸といっても差し支えないだろう。通過駅の方々は複雑な思いだろうが、新快速のおかげで滋賀県内は京都、さらに大阪方面への通勤圏内におさまった。

2019年10月1日時点の滋賀県人口推計によると、1年間の社会増減(転入者数ー転出者数)は3286人(0.23%)の増加だった。とりわけ京都に近い草津市や守山市、栗東市など南部の増加が目立つ。この人口増は新快速の利便性に支えられているといっていい。滋賀県内で最もお客の多い駅は2011年から新快速が停車するようになった南草津駅である。

南北の出入り口は…

さて、滋賀県に出入りする3番目のルートは北陸口だ。米原口から琵琶湖東畔を走ってきた北陸本線と、京都口から西畔を走った湖西線は琵琶湖の頂点の近江塩津駅で合流し、山を越えて福井県に突入する。地域輸送というよりは特急「サンダーバード」が活躍する大動脈の趣だが、敦賀まで走る新快速もあるから、特急一辺倒とはいえない。

旧東海道の道筋に近いのは草津線(筆者撮影)

米原口・京都口・北陸口のいずれにしても、大動脈の一部で、“通過する県”滋賀県を象徴しているようなものだ。だが、最後の入り口は少し雰囲気が違う。関西本線の柘植(三重県伊賀市)から北西へ、忍者の里・甲賀市などを経て草津までを結ぶ草津線。途中の貴生川駅では信楽高原鉄道や近江鉄道とも接続している。草津線自体は立派な電化通勤路線なので京都方面までの直通列車もある。

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