JAL大量欠航を招いた「重量管理」のカラクリ 効率運用の負の側面が顕在化
そのバランスについてコンピュータを使って最適解をはじき出すのが、重量管理システムのキモなのだ。したがって、予約やチェックインなどのシステムともつながっている。
具体的には、ある便の乗客の予約人数に対して、過去の実績データを基に事前におおよその重量を想定して、併載する貨物をどこへどのぐらい積むかをシミュレーションして、当日の運航に備える。運航当日は、実際に乗った乗客の数、給油の量などに応じて重量のバランスを瞬時に計算し、どうしたら最適なバランスが保てるか、荷物などの搭載計画を立てて実行する。
夏場と冬場では乗客の衣服の重さが変動することや、大人と子どもでは平均的な重量が異なることなども考慮する。また、相撲の力士が大量に乗り、平均重量が大きく変わるという突発的な事態にも、システム面である程度、対応できるという。
手作業でカバーした空港も
かつて重量管理システムがコンピュータ化されるまでは、重量管理は手作業だった。実は6月5日に重量管理システムが止まっている間も、一部では欠航にならなかった便もあった。手作業によるシミュレーションでカバーしたからだというが、人力ではスピードで機械に到底かなわず、大量欠航は免れなかった。
逆にいうと、昔と違って今は重量管理のような複雑な業務をコンピュータで一定程度自動化していることによって効率的な運用が可能となり、過密な運航スケジュールが組めるようになっている。今回の大量欠航は、1つのトラブルが全体に大きく影響するという、IT化の負の側面が表れた典型例だった。
(撮影:尾形文繁)
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