アップルが選んだ「ベストアプリ2020」の内幕 iPhoneアプリの1位は「エクササイズ」アプリ

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Explain Everything Whiteboard。先生はオンライン配信もしくは録画で、ホワイトボードを使った授業を展開できる(筆者撮影)

2020年は、2倍以上の画面録画共有機能が使われ、アプリを用いたプレゼンテーションは44%増加、毎分400本もの授業が行われているという。離れていても複数の先生や生徒でホワイトボードが共有できるコラボレーションは、4倍のセッションを記録したそうだ。

また「Shine」は、アメリカ社会で拡大したもう一つの問題「Black Lives Matter」に関連し、社会におけるマイノリティの心を癒やして助け合う「場」を提供した。

日系アメリカ人のナオミ・ヒラバヤシ氏と黒人女性のマラー・リンデイ氏が2016年に立ち上げたアプリで、肌の色や人種的なマイノリティや、金銭的な苦境に陥っている人たちのストレスや怒りを癒やし、前向きに生きることをゴールにしている。

アプリでは一般的なメディテーションだけでなく、自分の想いや不満、不安を書き残すジャーナル(記録)、それらを共有・共感するコミュニティ、そして日々のトピックについて言葉を交わすラジオが備わっている。

前述の人種差別の問題や新型コロナウイルス、大統領選挙と、不安や不確定要素が増大しているアメリカ社会における、コミュニティ全体のメンタルヘルスの問題を解決するために活用されたという。

幼馴染みのユーモアが、世界を席巻

2020年のベストiPhoneアプリに選ばれたのは、実に痛快なアプリだった。

お父さんが書斎のコンピューターの前で腕をぐるぐるまわし始めたり、お母さんが台所でフライパンを両手に持って振り始めたら、子どもたちはどう思うだろうか。きっと楽しくなってきて、一緒になって同じ動きをし始めるかもしれない。

Wakeout!は日常生活の中で、少し面白い動きによるエクササイズを取り入れるアプリ。ステイホームが必要な中で、新たな可能性を開拓した(筆者撮影)

そんなシーンを家に閉じ込められている中で作り出せたのは、とても素敵なことだと感じた。非常にクリエイティブだし、気分が沈みがちな現在の状況を一気に明るくしてくれる。同時に体も活力を呼び戻せる。

「Wakeout!」は、ロックダウンで家にいる時間が長くなった新しい生活様式の中で、ユーモラスなエクササイズを行い、体を起こし、心を解きほぐすアプリとして高い評価を受けた。

自宅や職場でできる30秒のエクササイズが大量に配信されているが、その動きはとてもユーモラスで、はたから見ると滑稽ですらある。しかし笑顔を作り出すことは、現在の生活において、最も大切なことでもあった。

開発者はグアテマラのアンドレス・カネラ氏。幼馴染のペドロ・ワンダーリッチ氏とともに作ったこのアプリは、家族にとって難しい時間を過ごす家の中で体を動かす方法を提供したいというアイデアを具現化した。

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