【産業天気図・化粧品・トイレタリー】消費不況で中価格帯化粧品不調、11年3月まで終始「曇り」

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10年4月~9月 10年10月~11年3月

化粧品・トイレタリー事業は、2010年4月から11年3月まで、終始「曇り」止まりの見通し。化粧品は消費不況で販売低迷。トイレタリーも高付加価値商品投入で下支えを図るが、大幅な成長回復は期待薄だ。

資生堂<4911>は他の化粧品メーカーよりも一足早く、5000円以上の高価格帯品の販売動向に底打ち感が出てきた。しかしボリュームゾーンである3000~5000円の中価格帯品の落ち込みは依然として続きそう。低価格帯品に需要が移行しているにもかかわらず、資生堂は「3ケタ(1000円未満)に強いブランドを持っていない」(原田康彦専務)のがアキレス腱だ。

低価格帯では医薬のロート製薬<4527>など、異業種参入組の台頭を許している。資生堂は利幅の薄い低価格帯を拡充することには消極的だが、低価格帯にシフトした消費が景気回復の局面でまた中・高価格帯に戻るかは不透明。資生堂については商品戦略が今後のカギだ。

ただ資生堂は新興国など海外では明るい材料がある。今後日本以上の化粧品市場となると期待される中国では、売上高の2ケタ成長を維持している。また、従来苦戦してきた北米でも、通販主力の米化粧品メーカー・ベアエッセンシャルを買収。11年3月期業績には同社分の売上高558億円、営業利益178億円(東洋経済予想)が連結される見通し。

トイレタリー首位の花王<4452>は、産業向け化学品事業が回復傾向にあるものの、資生堂と同様に中価格帯の化粧品の苦戦が続きそうだ。また、食用油「エコナ」が09年9月に販売停止になったため、10年も4~10月期はエコナ分の売上が剥落する。主力の洗剤では高付加価値商品を投入するが、業績全体としては横ばい程度だ。

好調なのはユニ・チャーム<8113>。新興国に積極進出しているほか、高齢化をふまえて大人用紙おむつで国内成長を図っている。化粧品、トイレタリー双方とも国内は少子高齢化で需要は先細るばかり。中長期的な成長のためには、海外や高齢者向けなど未開拓市場が企業成長のカギを握るだろう。
(島田 知穂)

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