人気急上昇の「変額保険」に潜む意外な落とし穴 なんとなく貯まりそうだけど本当にお得なの?
考えたいのは、コストです。変額保険と「イデコ+定期死亡保険」で、運用成果を比べてみましょう。
大塚さんが勧められた変額保険では、毎月2万8000円ずつ保険料を支払います。日本を含む世界株式インデックスファンドで、25年間3%で運用できたとすると、解約返戻金は1000万円です。保険料の総支払額は840万円なので、大きく増えるようにみえます。
しかし、複利計算すると、運用成果は約1249万円になりますから、差額の249万円が変額年金のコストということになります。実質リターンは約1.4%、運用と保険関係にかかるコストは約1.6%です。運用の結果、将来もっと増えるかもしれませんし減るかもしれませんが、コストは確実にマイナスになります。
税制優遇の大きいイデコを優先的に使うべき
一方、イデコとつみたてNISAで同じく日本を含む世界株式インデックスファンドで運用するとした場合、信託報酬は0.162%です。25年間同じく3%で運用できたとすると(つみたてNISAは非課税期間終了後も運用を続けます)、運用成果は約1221万円になります。
イデコは加入時と口座管理の手数料がかかりますので、25年間で約5万4000円とします。変額年金の保険金額と同じ1000万円を、60歳まで掛け捨ての保険で持つとすると、総保険料は71万7000円になります。それらを差し引くと、約1144万円です。
イデコには掛け金に対する税制優遇があります。課税所得が400万円の大塚さんの場合、年間の掛け金を27万6000円とすると、イデコに加入しない場合に比べて、所得税と住民税で5万5200円の節税になります。仮に将来収入が上がらないとしても25年間で138万円に上ります。
資産形成をしていくときは、リスク資産は税制優遇の大きい制度を優先的に使い、なるべくコストの低い運用商品で広く分散投資をするのが合理的でしょう。保障と貯蓄は別々にというのもポイントです。それでも変額保険を選びたいという場合は、なるべくコストの安いものを選ぶとよいでしょう。
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