皮膚科医269人に製薬企業が払う年4億円の中身

なぜ少数の医師に製薬マネーが集中するのか

キーオピニオンリーダーはとくに高額の謝礼を受け取っています(写真:megaflopp/iStock)

医師は一般に高収入の仕事として知られており、それが、医学部が人気を集める理由の1つとなっています。勤務医であれば、所属している医療機関からおおよそ1000万~2000万円の年収を得ていることが一般的です。社会保障制度の逼迫により今後状況が変化する可能性は十分にありますが、ご子息に医学部に入ってほしいと考えているビジネスパーソンも少なくないはずです。

そして、主たる収入以外にも高額な副収入を得ている医師がいます。その1つが、製薬マネーです。製薬企業から原稿執筆や講演等の依頼を受け、その対価として謝金を受け取るという構造です。

高額医薬品が増えた皮膚科

そのうちの皮膚科領域に目を向けてみると、年間の市場規模が2000億円にも上り、複数の生物学的製剤が相次いで開発されるなど、製薬企業からの注目が非常に高い診療科となっています。2019年に仙台厚生病院の齋藤医師らが発表した論文によれば、日本皮膚科学会理事に対する製薬企業からの支払金額は、18学会中2番目に高額であったと報告されています(齋藤・尾崎・小林、2019)。

さらに、診療ガイドラインは日本中の医師が病気の診断・治療方針の参考とし、治療薬の推奨度などの記載も含むため、医師の処方や患者の治療に対して大きな影響力を持ちます。この診療ガイドラインが正しいエビデンスに基づいた信頼に足る存在であるためには、本来診療ガイドライン著者は特定の企業等の影響を極力受けないようにしなければなりません。

今回われわれの研究チームは、2016年度および2017年度の全79製薬企業の公開データを用いて、日本皮膚科学会が2015年から2018年の間に発行した32の診療ガイドライン、全296人の診療ガイドライン著者を対象に支払われた謝金等の金額の分析を行いました。

解析の結果、296名のうち269名(90.6%) が製薬企業から原稿執筆料、講演料、コンサルタント費等を受け取っていました。この数字は、アメリカにおける同様の報告(製薬企業から謝礼を受け取っている皮膚科診療ガイドライン著者の割合、81.6%)よりも高い割合です。

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