独身男性が驚く「27歳が結婚ピーク」という現実 国が公表する婚姻届データから見えた現実

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つまり、男性の結婚の一般イメージと統計的な真実の間には、ものすごく大きな乖離がある、それが日本における男性の「結婚適齢期観」(思い込みベース)なのです。29歳で初婚同士カップルの婚姻届の5割の件数に達しますが、わずか3歳上の32歳には7割、そのまた3歳上の35歳には8割に達します。

もし本気で初婚女性との結婚をイメージしているならば、35歳までに決着をつけないことには、成婚はかなり苦戦を強いられることになります。また39歳になると婚姻届の9割に達するため、40歳以降の成婚はまさに茨の道という状況がうかがえます。

実際、安価な公的の結婚支援センターでも、高額な結婚相談所でも、女性に比べて男性は大きく出遅れて結婚に向けた相手探しをスタートします。20代男性・30代男性の登録は女性に比べるとかなり少ない割合で、40代以上からどんどんとその割合を増し、男性余りを起こします。

現場からは「男性は結婚したくないというより、とにかくスタートが遅いんですが、出遅れたという認識が薄い」「20代男性が恋活ではなく婚活サービスに登録したら、『入れ食い』状態で若い女性から手があがり、すぐに決まります」との声がよく聞かれますが、グラフからは当然の状況といえます。このグラフを男性が知っているかいないかで、たった1年出遅れることへの意識が随分と違ってくると思います。

「どうして急がなきゃいけないんだ!」と叫ぶ前に

この結果に「俺は出産もしないんだし、なぜ女性みたいに焦らないといけないんだ」と、思いたくなる気持ちも想像できなくはありません。

しかし、結婚は自分ばかりが選ぶ立場ではなく、男女ともに選びあっての成婚となります。女性に産期があり、若いほうが妊娠もお産も楽である、ということが理解できているのであれば、少なくとも子どもを持ちたい女性ほど、結婚に向けた初動は迅速で、加えて、共働き世帯比率(非農林業)がすでに68%にのぼる(労働政策研究・研修機構 2019年調査/共働き世帯1245万世帯:専業主婦世帯575万世帯)時代においては、女性もしっかり働くのであれば、家事育児に腰が軽そうな、気力体力に満ちあふれた若い男性がより選ばれやすい、ということに気が付いてほしいと思います。

ちなみに、初婚男女の年齢差の平均は1.7歳となっています。そして、男女どちらが上でも3歳差以内までに7割の婚姻届が集中しています。「若い女性をパートナーに持ちたいなら、自分も若いことが発生確率からみた大前提」である様子が、統計的には明確に映し出されているといえます。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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