石油の異端事業を世界へプロデュースした男 ソーラーフロンティア社長 玉井裕人(下)

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ソーラーはほかとどこが違うのか

三宅:玉井さんが以前「アイデアをモデリングする」とおっしゃったことがあるのですが、とても面白い表現だなと思いました。単に思いつきで終わらせないで、アイデアをちゃんと形にするということですね。

玉井:形にしていかないとダメですね。ただ、何を形にすべきかは、後から気づくことも多いのですよ。手前みそになりますが、たとえば前にお話しした扇島パワーは、新規設備投資をしたにもかかわらず、初年度から黒字になりました。後から解析すると、赤字にならなかった理由はちゃんとあったのです。次の電力事業ではそれを生かさないといけないなと。

三宅:結果をまた原理に変換して、取り込んでいくわけですね。

玉井:ずっとやっていくと、ここがキーポイントだということがわかります。わからないとスッキリしないんですね。だからソーラーも、何をすればいちばん儲かるのか、ひと言で言い当てようとしています。

三宅:原点に戻っていますね(笑)。前回、伺った係長さんのお言葉ですね。

玉井:ソーラーは電化製品ですが、ほかのものと何が違うかというと、皆さんがご自宅に付けた瞬間に発電しておカネに変わるところです。電力を作ると電力会社が買い上げてくれますから。そんな商品は世の中にほかにないですよね。冷蔵庫や洗濯機は家事を楽にしてくれますし、オーディオ装置から作り出される音楽は、は人によっては無限の価値を生みます。でも、残念ながらソーラーに無限大の価値を見いだしてくれる人はいなくて、おカネというひとつの価値しかありません。それをどう整理したら面白いのか、それを生かしてどのような事業を作り出していくべきか、ということをずっと考えています。

三宅:今後のソーラーフロンティアのビジネス展開が、ますます楽しみになりました。最後に、これからチャレンジする人たちにメッセージをお願いします。

玉井:最初の上司だった係長は、「面白くなきゃ仕事じゃない」と言っていました。仕事がつまらないのは、自分が仕事をしていない証拠で、ちゃんとやれば絶対に面白いはずだと。

三宅:だから玉井さんは妥協せず、とことん突き詰めるのですね。面白くなるまでやれと。

玉井:そうなのです。すると好循環ができて、面白いからやる、やるから面白くなるというふうに転がっていきます。それを一回経験すれば、次のステップに進めると思います。

(構成:仲宇佐ゆり、撮影:風間仁一郎)

三宅 孝之 ドリームインキュベータ執行役員

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みやけ たかゆき

京都大学工学部卒業、京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修了(工学修士)。経済産業省、A.T. カーニー株式会社を経てDIに参加。経済産業省では、ベンチャービジネスの制度設計、国際エネルギー政策立案に深く関わった他、情報通信、貿易、環境リサイクル、エネルギー、消費者取引、技術政策など幅広い政策立案の省内統括、法令策定に従事。DIでは、産業プロデュース事業を統括し、環境エネルギー、まちづくり、医療などを始めとする様々な新しいフィールドの戦略策定及びプロデュースを実施。また、個別プロジェクトにおいても、メーカー、IT/通信、金融、エンタメ、流通、サービスなど幅広いクライアントに対して、新規事業立案・実行支援、マーケティング戦略、マネジメント体制構築など成長を主とするテーマに関わっている。

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