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「強い人間と自称する人」に熱狂する人々の愚純 ポピュリズムを生み出す下地がつくられる背景

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「1匹の妖怪がデモクラシーの地を徘徊している。強い男(あるいは強い女)という妖怪が」と言ったのは社会学者のジグムント・バウマンでした。バウマンは、威勢のいい空約束こそが多くの人々を魅了していると指摘しました。

強い男や強い女を自称する人間の持つ魅力は、たとえ彼らの当面の唯一の行動が話したり語ったりすることであっても、行動すると誓っていることにある。さらにその魅力は、彼らがよく話したり語ったりしていることこそ、彼らがほかのやり方でできることであり、ほかのやり方が存在するという事実にある。ようするに、彼らこそそのほかのやり方であり、結局のところ、そうした強い男や女の持つ人を魅了する力はすべて、その誓いや主張がまだ実行に移されていない点にある。(ジグムント・バウマン『自分とは違った人たちとどう向き合うか 難民問題から考える』伊藤茂訳、青土社)

「行動すると誓っていること」こそが可能性の源泉

ここでも重要なのは、メディア映えする演出であり、所作なのです。

『山本太郎とN国党~SNSが変える民主主義~』(光文社新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

「行動すると誓っていること」こそが可能性の源泉であり、「その誓いや主張がまだ実行に移されていない」からこそ持ち上げる意味があるというのです。このいまだ達成されていない余白とは、個人では背負えないほどの負担や責任に疲弊し、不安や恐怖から逃れようとする人々にとっての避難場所の別名です。

それゆえ、現実にどのような政治が行われているかといった検証や監視の必要性などよりも、「強い男や強い女を自称する人間」に対する支持と期待が淡いながらも惰性のごとく持続するのです。加えて、マスコミが公器としての自覚を失い、目先の視聴率やPV(ページビュー)至上主義へと傾倒することで、彼ら彼女らの魅力はいや増し、近い将来、さらに巨大なポピュリズムという爆弾が生み出される下地を準備することになるでしょう。

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